ドラムヘッドの「アンバサダー」って? 

ドラムヘッドの話題の中、「アンバサダー」や「エンペラー」といった単語を耳にしたことはあるでしょうか。
ドラマーには常識なのですが、ドラマーじゃない方や初心者の方はピンとこない場合がほとんどではないでしょうか。
個人的にアンバサダーはコーヒーの機械をイメージしてしまいます。

実はこの「アンバサダー」や「エンペラー」というのはREMO社の商品名でヘッドの厚みを示すもの。
ドラムヘッドではREMO社が世界標準といっても過言ではなく、その他メーカーもREMO社にならった厚みで商品を展開しているため、REMO社の商品名ながらドラムヘッドの厚みを示すものとして一般的に使用されています。

今回はドラムヘッドの厚みと呼び名についてご紹介していきたいと思います。

ドラムヘッドとは

「ドラムヘッド」とはドラムの打面及び裏面に張られた皮のこと。
シェルにボルトや紐などによって固定され締め加減によって音程や音色を調整します。
元々は動物の皮で作られていましたが、1957年にREMO社によってマイラーヘッドが開発され、以降はプラスチックで作られたドラムヘッドが主流となっています。

打面側のドラムヘッドを「バターサイド」、裏面側を「スネアサイド」と呼びます。
スネアサイドはスナッピーを響かせるためにバターサイドに比べ薄く作られています。

厚みについて

まず基礎知識としてですが、ドラムヘッドには1枚のフィルムでできたものを1ply、2枚のフィルムを重ねたものを2plyといいます。
また、厚さの単位として「mil」というものを用います。
これはインチベースでの単位のためミリに換算すると、「1mil = 1/1000 インチ= 0.0254 ミリ」になります。

ここではREMO社の商品をもとに説明していきます。

【アンバサダー(Ambassador)】
1ply 10mil
最もスタンダードな厚みで現在発売されているスネアドラムに高確率で標準装備されています。
ブライトで良く鳴り、反応も良好。
ロックやポップス、ジャズまで幅広い守備範囲でまさに標準といえます。
耐久性は高くないので、極端にラウドなジャンルやハードヒッターには心許ないかもしれません。

【エンペラー(Emperor)】
2ply 7mil+7mil
薄いフィルムを2枚重ねた厚めのヘッド。
アンバサダー比べ鳴りは抑えられ、アタックが強めに出ます。
音色はややダークで低音成分が多く、ハイピッチにしてもロー感が損なわれません。
2plyのため反応は鈍いのでジャズなど繊細さが要求されるジャンルは不得意。
耐久性は高いのでハードヒッターにはオススメです。

【ディプロマット(Diplomat)】
1ply 7.5mil
薄めの1プライヘッド。
ブライトなトーンでサスティーンは長く、反応がかなり良いので、繊細さを求めるならオススメです。
耐久性は低いので、力任せに叩くのはご法度、合うジャンルも狭くシビアなコントロールを求められるので上級者向けともいえます。

【スネアサイド アンバサダー】
1ply 3mil
標準的なスネアサイドヘッド。
ボリューム、反応共に良く、迷ったときはこれをチョイスしておけば間違いないでしょう。

【スネアサイド エンペラー】
1ply 5mil
厚めのスネアサイドヘッド。
アンバサダーに比べ、スナッピーの鳴りが抑えられ代わりにシェルの鳴りが強調されます。
タイトなサウンドメイクにオススメです。

【スネアサイド ディプロマット】
1ply 2mil
極薄のスネアサイドヘッド。
アンバサダーよりもスナッピーの反応が良いため繊細さが求められるジャンルに相性抜群。
バターサイドと同じく耐久性は低くなっています。

いかがでしたでしょうか。
今回は厚みについてご紹介しましたが、この他にもコーティングやミュートの有無などヘッドには様々な仕様がありキャラクターもかなり違います。
次回はヘッドのバリエーションについてご紹介したいと思います。

ベース、ドラム、アクセサリ担当:前田

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