ギター・ベースのクリーニングの方法と重要性
見た目だけじゃない
綺麗にしておくと見た目にも気持ち良く演奏することができますが、音質や演奏性にも大きな影響があることをご存知でしょうか?
また、放っておけばギターの寿命を縮めてしまうことにもなりかねません。
きちんとクリーニングしておけば良いコンディションも長続きし、いつか手放す事があっても高値で引き取ってもらえる可能性が高まります。
こんなにも変わる!? ビフォーアフター
実際に当店でおこなっているクリーニング工程のお話を交えて
どこをどのように綺麗にすれば良いのかをご紹介して参りたいと思います。
今回はGibson SG Standardのクリーニングを大公開!
※画像をクリックすると、大きな画像がご覧いただけます。
ヘッドを磨く時は、面倒かと思われますがペグもトラスロッドカバーも外します。この方が磨き易いですし、細かい部分までムラ無く綺麗になります。ペグの周りに、丸い磨き傷が付いているのはカッコ悪いですよね。ペグを磨く時も外しておいた方がはるかに楽です。
【 ペグ 】画像の左右でペグの輝きが全然違うのが見ていただけるかと思います。金属パーツには一般的にはピカールなどが比較的簡単手に入る上、効果的です。ペグ磨きは非常に細かい作業になるので綿棒などを使ったり、ちょっとコツを掴むまでは時間が掛かります。
【 ヘッド裏面・ペグ裏面 】Gibson Deluxeのロゴの見え方がこんなにも変わるものか!まだヘッドだけですが、これだけ綺麗にすると練習する気や、楽器への愛着も随分と増してくるのではないでしょうか!?
【 フレット・指板 】左の画像はフレット自体にくすみや錆が発生し、指板にも汚れや手垢が付着しています。フレットの錆はサスティーンに直接大きな影響を与えますので、ぴかぴかに磨き上げます。指板の汚れは何より見た目に悪いですが、実は乾燥もよくありません。レモンオイルを少量クロスに取って磨きます。汚れを落とすと同時に材の保湿もおこないます。
【 ピックアップ 】ピックアップカバーももちろん磨きます。弦も外して徹底的に磨きます。表面だけでなく、側面もきちんと磨きます。※右の画像では側面も見えるようにピックアップを高くしてみました。今回はちょっと取りきれないくすみや傷がありましたが、これも中古品としての”味”ですね。
【 ブリッジ 】「新品と換えたんじゃないの?」と言われそうですが、本当にピッカピカです!ブリッジ、テイルピースはやればやるほど綺麗になります。特にブリッジは非常に細かい作業で手間が掛かりますが、フレットやナットと同様にブリッジの汚れも音に悪影響を与えるため、駒も取り外して一つずつ磨きます。
【 ボディ 】ボディには汗、手垢、ホコリなど色々な汚れが付着しています。ピックガードとの境目を見ていただくとどれだけ汚れていたかが伺えます。小さな傷などもこの時に消してしまいます。ペグの時と同様、コントロールノブも外してきちんと磨き上げます。
いかがでしたでしょう!?
以上の作業で、今回のSGはとっても綺麗な状態に仕上がりました。
使ったままの状態でお売りいただくのと、綺麗な状態にしてからとでは、やはり後者の方が印象が良いのは、言うまでもないかもしれません。
まとめ
- 面倒に思えるが、外せるパーツは外してしまった方が結果的に効率よく綺麗になる。
- 金属部分は"ピカール"等の専用の金属磨きを使う。
- 金メッキされている金属パーツにはメッキ専用のものを使う(洗浄能力は落ちます)。
- ボディやヘッドにはクリーナーを使う。
- 金属磨きも、クリーナーも数百円程度で入手可能。
- レモンオイルはローズやエボニー製の指板・ブリッジに使う。メイプルには使えない。
- 磨くクロスは洗浄液別に全て別々のものを使う。
当店の、汚れに関する考え方
「汚れくらい楽器屋が綺麗にして当たり前だ」、
とお思いの方もおられるかも知れません。
私たちもそのように考えています。
買い取りさせていただいたお品を、きちんとクリーニング・セットアップし、次の方が気持ち良くお使いいただける状態にして初めて、買値と売値に差額を発生させて良いものと考えます。
要するに、クリーニングは楽器屋のお仕事なのです。
だからこそ、クリーニングすら必要のないお品は、私たちがする仕事があまりないため、高く買わせていただくことができます。
「汚れがあるから安く買い取られる」のではなく、
「汚れがないから高く買い取りできる。」のです。
編集後記
その楽器の最大のパフォーマンスを引き出してあげるためには
綺麗な状態を保つことが大切です。
汚れは音に直接悪影響を与えるだけでなく、
動作不良の原因にもなりかねません。
普段から綺麗にしておけば、常に最大のパフォーマンスが期待できる上、
売る時もほとんど手間を掛ける必要がないのです。
綺麗にしておくに越したことはない、ですね。