楽器と金属アレルギー 

楽器にはあらゆるところに金属が使われています。

細かく見ていくと、
ギター・ベースはペグ、フレット、ブリッジ、ストラップピンなどたくさんの金属パーツや金属製の弦を使います。
金管楽器も一部のパーツを除きほとんどが金属製ですし、木管楽器も名前によらず金属パーツがたくさん使われています。

(金管楽器と木管楽器の違いについては、こちらでご紹介しています。)

肌が敏感な方は、たくさん練習して金属に触れる時間が長くなるとアレルギーになるのでは?と心配になったことはありませんか?
今回は楽器と金属アレルギーについてご紹介していきます。
最後までご覧いただき、お役に立てれば幸いです。

金属アレルギーとは?

金属それ自体はアレルゲンではなく、金属と肌とが長時間触れ、汗をかくなどして、金属イオンが人体のたんぱく質と結合し、起こるのが金属アレルギーと言われています。

金属アレルギーときくと、私はまっさきに皮膚炎を思い浮かべるのですが、頭痛や倦怠感など多くの症状があるようです。

金属アレルギーの原因

数ある金属の中でも、ニッケル・コバルト・クロームが金属アレルギーの「三大原因金属」と呼ばれ、これらに反応する人が多いそうです。

逆に、金・銀・白金などの貴金属の純度が高いものや、純度の高いチタン、ジルコニウム、サージカルステンレスなどはイオン化しにくく、アレルギー反応が出にくいと言われています。

楽器に使われている金属

●金・銀 ★☆☆
純度が高いほど反応が出にくいですが、純度が高いほど柔らかく傷付きやすい特徴があり、純金・純銀は楽器にはあまり使われません。銅などと混ぜることが多く、楽器では金管楽器やサックス・クラリネットのメッキやフルート本体に使われています。

●プラチナ ★☆☆
こちらも金・銀同様にアレルギー反応はでにくい金属と言われています。
希少性が高く、比重も高いため、材質としてはあまり楽器には使われませんが、フルートやマウスピース、リガチャーに鍍金(メッキ)として使われることがあります。

●真鍮(銅と亜鉛)★★☆
真ちゅうは銅と亜鉛から成る合金で、比較的アレルギー反応がでやすいと言われています。サックスや金管楽器を中心に管楽器に多く使われている他、アコースティックギターの弦にも使われています。
大抵の管楽器はメッキがけやラッカー塗料など真鍮の上に表面処理が施されており、直接触れることはそれほど多くありません。

●洋白(銅とニッケルと亜鉛)★★☆
洋白は銅とニッケルと亜鉛から成る合金です。
3大原因金属の1つであるニッケルが含まれており、アレルギー反応がでやすい金属の1つです。
強度に優れ、見た目にも美しいため、クラリネット、フルート、オーボエのキィやホルンのレバーなど演奏中に触れる部分に多く使われていますが、管楽器はメッキがかけられており直接触れることはすくないです。

金属の割合によって種類がいくつかございますが、「ニッケルシルバー」と呼ばれるギターやベースのフレットや弦の材質として多く使われる金属もこの洋白の1つです。

●チタン ☆☆☆
軽く、強度に優れており、アレルギー反応がでにくい金属の1つです。
身近な物だとアクセサリーや眼鏡の材質として採用されています。
それほど数は多くありませんが、チタン製のマウスピースも販売されています。

●ステンレス ★★☆
鉄にニッケル、クロムを合わせた合金です。
洋白同様、アレルギー反応が出やすい金属の1つです。
硬く、摩耗に強いため、フレット、弦の材質に使われることの多い金属です。

対策・対処法

①汗・金属に同時に触れない
金属アレルギーの原因となる、金属とタンパク質が結合することを防ぐため、
手と金属の間に汗がある時間をできるだけ短くするのが一番の対策です。
汗をかかないような涼しい場所で練習したり、触れるところに付いた汗はこまめに拭き取りましょう。

②金属に触れない
・練習中は手袋を履く(金管楽器)
・コーティング弦に変える(ギター・ベースなど)など、物理的に金属を遮断するのも一つです。
また、調べていくと、古いマウスピースのリムにトップコートを塗って対策をしている方もいらっしゃるようです。

③アレルギー反応しにくいものに変える
・真鍮製・銀メッキのマウスピースから、チタンのマウスピースに変える
・メッキをかけ直すなど、触れる金属の種類を変えるという対処法もあるようです。

おわりに

いかがでしたでしょうか?

アレルギー体質でご心配な方やすでに金属アレルギーになってしまってお困りの方の一助になればと思います!

「他にもこんなことが知りたい!」などご意見、ご質問がございましたら、お気軽にお寄せください。

コメント

  1. M より:

    私はフルートを吹いているのですが、ちょうど顎?のところにはれものができてしまったんです。それって金属アレルギーの症状ですか?あやふやですみません‥

    • Qsic より:

      コメントをいただきありがとうございます。
      腫れてしまったのは、唇から顎にかけてのリッププレートに当たる部分でしょうか。
      お使いのフルートが「洋白」や「洋銀」と呼ばれるニッケルが含まれる材質であれば、アレルギーの可能性は高いかと存じます。
      銀製や金製のフルートでも(比較的少数ですが)アレルギーを発症する方もいらっしゃるようですし、金属に触れている部分に炎症が起きているのであればアレルギーの可能性は否めません。
      せっかくのお問い合わせにはっきりとお答えできず恐れ入りますが、症状が長引くようであればお近くの皮膚科医までご相談なさることをおすすめいたします。

  2. 沙菜 より:

    バリトンサックス演奏者なのですが、特に触れる指先が特に赤くなったり痒くなったりするのですが、金アレですかね?

    • Qsic より:

      コメントをいただきありがとうございます。

      サックス演奏時に指先が触れるのは、白蝶貝やプラスチックでできたは指貝と呼ばれる部分かと思われますが、赤くなるのは金属に触れる部分でしょうか?

      せっかくのお問い合わせにはっきりお答えできず恐れ入りますが、上記を踏まえて、お近くの皮膚科医までご相談いただければと存じます。

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