クラシックギターのはなし 第三回 「赤」と「白」 

さて、クラシックギターと一口に言っても様々な種類があるのですが、見た目に一番わかりやすいのは「白」と「赤」の違いでしょう。クラシックギターは表面版に使われる材により、白っぽい「スプルーストップ」と赤っぽい「シダートップ」とに分けることができます。もちろんただの色違いではありません。

1-スプルース
スプルース:マツ科トウヒ属の針葉樹。木肌は白。産地によってジャーマンスプルース、シトカスプルースなどの種類がある。楽器に用いられる木材として理想的な振動伝達特性を持ち、音の遠達性に優れるためギターの他にバイオリンなどの擦弦楽器の表面版やピアノの響板などにも用いられます。
シダーに比べ確保が難しいため、良材は高価です。立ち上がりが早く輪郭のはっきりした明るい音色を持ち、個体としての最良の鳴りを得るために4~5年ほど弾き込む必要があるがその分、鳴りのピークが長いと言われています。

1-シダー
シダー:日本では米杉と呼ばれるヒノキ科の針葉樹。材の色は薄褐色から赤橙色。また、赤橙色が強い材がギター用としては良質だとされています。資源が豊富で良材が安価に供給されるため、比較的廉価なギターに用いられることが多いですが、スプルースとは異なったキャラクター・特長を持った材であることから、高級な手工品に用いられることもよくあります。暖かくややダークな音色、高音域においてはスプルースにない甘いトーンが特徴です。弾き込まなくても初めから十分な鳴りを持ったものが多く、湿度の上下による音質の変化が少なく、通年安定しています。ただ、スプルースよりもなお繊細で傷みやすい、はじめから良く鳴る代わりに長い目で見ると鳴りの寿命が短い(弾き込んで2~3年後が鳴りのピークだと言われています)、材の良し悪しによるが高音域に独特のか細さを持つ個体もある、といった短所も見られます。

さて、実際のところですが、遠達性が重視されるコンサート用として制作されるため、どうしても高価な手工品はスプルースをトップに用いたものが多いです。その為シダートップ=初心者用の安いギター、学校の音楽の授業で弾くギター、といったイメージをお持ちの向きもあるかもしれません。ですがその音質からシダートップを好んで使うクラシック奏者もいらっしゃいますし、初めから良く鳴る、というシダーの特徴は毎日長い時間楽器を触れない方に適したものでもあります。行きつくところは楽器と演奏者との相性ではないでしょうか。機会があればぜひ、弾き比べてみてください。

次回はフラメンコギターについて、です。      

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