銀製フルートをよく見ると、「925」や「900」などの3ケタの数字が書いてあります。
これはシリアルナンバー(・製造番号)ではありません。
今回はこの3ケタの数字のヒミツについてご紹介いたします。
数字の意味とは?
刻印の種類は「925」「958」「900」「970」「997」などがあります。
この数字を見ただけでピンときた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
これは銀製フルートの金属の銀の含有率を1000分率で示した数字です。
銀製フルートといっても、加工や取り扱いが難しいため純銀は使われておらず、銅などの他の金属と銀の合金で作られています。仮に、混じり気のない純粋な銀のフルートがあれば、「1000」ということになります。
一番多く使われるのは「925」。銀が92.5%含まれる金属が使われている、という意味です。銀の化学式と合せてAg925(えーじーきゅうにご)と呼んだり、単に925とも呼ばれます。
貴金属の世界ではシルバー925、SV925とも呼ばれます(私は管楽器の話題ではあまり耳にしたことはありませんが、実は一般的なのでしょうか…?)。
銀の純度が高いモデルほど、楽器自体は重くなり、抵抗感は増し、柔らかい音色になると言われています。
種類のいろいろ
- 90.0%(900‰)
コインシルバーとも呼ばれます。
昔の標準的な純度だったのか、すこし古い楽器に多い印象です。
いま当店に在庫しているものだと、Sankyo Artistの管体がAg900です。 - 92.5%(925‰)
フルートに使われる銀で一番多いのが、この割合です。
スターリングシルバーと呼ばれることもあるため、数字ではなく「Sterling」と書かれていることもあります。
日本ジュエリー協会では、銀以外の7.5%が銅であるものをスターリングシルバーと呼ぶと定義づけられているようですが、管楽器においても同じなのでしょうか…?
含有されている金属は公表されていないので、同じ92.5%銀のフルートであってもメーカーごとに異なるかと思われます。 - 95.8%(958‰)
ブリタニアシルバーとも呼ばれます。
現行だと、Pearl Fluteのカンタービレ※、エレガンテ※、Altusなど、頭部管や管体に95.8%銀の金属が使用されているようです。
※Ag925仕様もございます。 - 97.0%(970‰)
現行モデルでは、Pearl Fluteのマエスタ※※やフルートマスターズなどでAg970が使われているモデルがあるようです。
Pearl FluteのHPではプリスティーンシルバーとも呼ばれているようです。
※※Ag925、Ag997仕様もございます。 - 99.7%(997‰)
メタライズドシルバーとも呼ばれます。
ここまでくると純銀製にかなり近いため、力強く、重厚な響きが特徴です。
Altusには管体だけでなく、キィパイプに使用しているモデルもあるようです。
おわりに
今回例として挙げませんでしたが、Ag944、Ag946、Ag500などもフルートの材質に使われている(・使われていた)ようです。
総銀製フルートの仕様を見比べても、パーツによって含有率の違う銀が使用されていたり(リッププレートに近ければ純度が高いとは限りません)、ブランドごとの様々な研究が見て取れて面白いですね。
他にもこんなことが知りたい!などご意見、ご質問がございましたら、お気軽にお寄せいただければと思います。
当店では、フルート以外にも
- ピッコロ
- オーボエ
- クラリネット
- サックス
- トランペット/コルネット
- ホルン
- ユーフォニアム
- トロンボーン
- マウスピース/リガチャー
といった管楽器やその周辺の商品も広く取り扱っております。
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