KORNのヘッドも使っているEverTune(エバーチューン)ブリッジの調整方法 

少し前に話題になったEverTune(エバーチューン)ブリッジ搭載のギターが入荷していました。KORNのギタリスト、Brian “Head” WelchがIbanezからESPにエンドース契約を変更してからリリースされたシグネチャーモデルに搭載されていることで知名度がググッとあがったブリッジシステムですね。

海外メディアのKORN機材紹介の動画でヘッドが絶賛していた記憶があります。

「KORNのギターサウンドにはうってつけだろうな。」というのが個人の感想でした。
というのも、ピックで演奏する弦楽器は強いアタックの瞬間にはピッチがどうしてもシャープしてしまうのですが、このエバーチューンシステムではどんなに強くアタックしても設定した音からピッチが上がりも下がりもせずブレないという性質の製品だからです。
5弦ベース/7弦ギターのダウンチューニングを採用していてエレキギターはハイゲイン系のアンプを使用した音作り、強くピッキングしたときの歪みのサウンドを出したうえでピッチもブレないのであればいいことづくめです。

さて、そのエバーチューンブリッジ、実物を触るのが初めてだったので取説を見たのですが、初めての概念が多すぎて最初はさすがに混乱しましたw

今回は、簡単に調整の仕方を書こうと思います。

そもそもどういう構造か


各弦に1本ずつ独立してスプリングが入れてあり、弦のテンションを一定に保つ仕組みになっています。
トレモロ用ではなく、弦の調律を一定に保つためにスプリングを使用したのがEverTuneのシステムです。

どう調整するのか

「エバーチューン・キー」という付属品を調整に使うのですが、専用の工具というわけではなく、「2.5ミリの六角レンチ」さえあれば調整できます。

簡易的に添付画像に◯をいれましたが、
・青◯のビスがチューニングの設定
・赤◯のビスが弦高調整
・黄色◯のビスがオクターブチューニングの調整になっています。
各弦それぞれに同じく3箇所調整ビスがあります。

弦を張り替えて弦がダルダルのところからペグを巻いていくと1番目にチューニングが変わらない箇所に到達します。そこが”スィートスポット”と呼ばれる基本チューニングの設定部分です。
そこからさらにペグを巻いていくと再び音程が上がり始める張力のゾーン”ベンドストップゾーン”に突入します。

1.弦を張替えたらペグを巻いていき、スィートスポットで青◯のビスを調節して基本チューニングを設定する。(ビスが時計回りで音程が上がる、反時計回りで音程が下がる)
各弦それぞれのチューニングの設定をする。

2.黄色◯のビスでオクターブチューニングを調整
(時計回りでサドルが後ろへ下がり、反時計回りでサドルは前に出ます)

3.赤◯のビスで弦高調整
(弦高調整についてはそれだけで1記事書けますので、詳細は割愛しますが各弦の弦高が調整できます。ストラトみたいですね。)
※EVERTUNE BRIDGE の特徴として一部例外を除き弦高調整によるチューニングの狂いが無い為、手軽に弦高調整が可能と取説に記載がありましたのでオクターブチューニングの後の工程になっていますが通常のギターは弦高調整の後にオクターブチューニングですのでここが違う部分です。

追記としては、1.と2.の間にギター本体のネックの反りの調整を入れるのが手間が少ないと思います。

最後にもう一度、チューニング設定が合っているか、ネックの反りは問題ないか、弦高は大丈夫かビビりや音づまりは出ていないか、オクターブチューニングが合っているかを確認して問題なければ完了です。

ペグ自体でチューニングを完了しないというのが今までのギターの仕組みから逸脱した部分で理解しづらい箇所かもしれません。

弦のメーカー・材質・ゲージ・チューニングを変更しない場合(同一弦、同一チューニング)であれば以後大掛かりな設定は必要ないとのことなので、一度セットアップが固まれば微調整だけで済むフロイドローズと似たような扱いができるシステムなのかもしれません。

じつはチョーキングもできます。

基本チューニングができた時点からペグを巻き上げていって”ベンドストップゾーン”に突入してからさらに各弦のチョーキングしたいピッチまでペグを巻きあげて音程が上がるかを確認した後に、弦をゆるめる方向にペグを回していって”スィートスポット”(設定した基本チューニング)まで音程を落とせば、チョーキングできる状態になります。

チョーキングできるかどうか悩んでいた方も興味を持たれたのではないでしょうか。

EverTune(エバーチューン)の利点とは

多弦ギターやダウンチューニングを扱うジャンルでのピッチの問題は昔から論じられてきました。「ピッキングの瞬間の音程でチューニングする」手法などがとられる場合もあるほど、「強くピッキングしたときの音色、アンプのドライブ感、歪みの質感を得たいがピッチが不安定になるのはいただけない」という悩みがあったわけです。
「ピッキングの瞬間の音程でチューニングする」手法は、音を伸ばした際にピッチが想定した音程よりも下がるのもまた別の悩みとしてもありました。
強いピッキングで音程がシャープしないチューニングがピッチが狂わないブリッジシステムはサウンドメイク面で革命的だったと思います。

あとはシンプルにリハーサルで完璧にしたチューニングをライブ中にチューニングをしなおす必要がないというのは大きなアドバンテージとなるかもしれません。

 

また新しく斬新なシステムのギターが入荷したらご紹介したいと思います。

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