美しい仕上がりで人気。ロングサドルの魅力と注意点 

ヴィンテージ・マーチンやその復刻モデルで採用されている「ロングサドル」。ブリッジの曲線に合わせて加工された両サイドの美しい仕上がりや、ブリッジとの接地面積が広いことによる振動の効率的な伝達など、魅力がたくさん詰まった仕様です。それならどうしてロングサドルからショートサドルに仕様が変わってしまったのか?という疑問を持たれる方も多いかと思いますので、今回はそういったお話と、ロングサドルのギターの注意点をご紹介します。

ロングサドルとショートサドル

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マーチン・アコースティックギターのブリッジサドルは、ヴィンテージや復刻モデルに採用される「ロングサドル」と、近年のモデルに採用される「ショートサドル」の2種類があります。音響的にアドバンテージがあったとされるロングサドルですが、いくつかの理由から仕様変更され、現在ではほとんどのモデルがショートサドルになっています。

強度的な問題

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ロングサドルは美しい仕上がりとなっていますが、その性質上、ブリッジのサドル溝が浅く、割れてしまいやすいという特徴がありました。また、サドル自体の両端も欠けやすくユーザーからもう少し強度のある仕様にしてほしいとの声があり、強度的なメリットがあるショートサドルへと変更されていきました。

加工難易度の問題

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ロングサドルの場合は、ショートサドルと違い、ブリッジの形状に合わせて両端を加工、きれいに篏合させるための高い技術が必要となります。また、弦高を調整したい場合には、ショートサドルのように底面を削ってしまうとブリッジの溝とずれてしまうため、サドルの上面を、R(曲線)を崩さないように加工する必要があります。こちらは技術を持たないユーザーではなかなか困難な加工であり、修理業者に依頼するにしても、少々高額 になってしまうことが多いです。
ショートサドルが主流になっていったのには、こういった部分でのコスト削減も関係していた可能性もありますね。

ピックアップの種類に注意

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あとからピックアップを取り付ける場合、さまざまな種類があるため、ユーザーがいろいろと選択できるのですが、ロングサドルのアコースティックギターには、基本的にはアンダーサドルタイプのピエゾピックアップは使用できません(ピックアップの厚みの分スロットを掘って上手に取り付けているものも稀に見かけますが…)。
近年ではデュアルピックアップなどで、片方がアンダーサドルピエゾなことも多いので、ロングサドルのギターのピックアップをお選びの際はご注意ください。

さいごに

今回はマーチンギターのサドルのご紹介でしたが、メーカーによってはネジで高さの調整ができるものや、通常よりも幅が広いサドル、各弦で独立したサドルなどの他、なんとエレキギターのブリッジをアコギブリッジに嵌め込んだものまで、今までにさまざまな種類が当店にも入荷してきました。私も、そういった珍しい仕様のものを買取させていただいく度にそうしてるのですが、それぞれの歴史やサウンドの傾向などを調べてみるとなかなか面白いのでお勧めですよ!

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