みなさんはご自身の愛用の楽器の歴史やスペックなどに興味をもって調べたことはありませんか?
今回はBUMP OF CHICKEN好きの担当者が愛してやまないモデル「ギブソン・レスポール・スペシャル」について、1960年に一度生産が完了した仕様を復刻したモデル「Gibson Custom Shop 1960 Les Paul Special Single Cut」を参考に、ご紹介させていただきます。
レスポール・スペシャルとは
レスポール・スペシャルは、1954年に入門用として登場した1PU仕様の「レスポール・ジュニア」のアップグレードモデルとして1955年にデビューしました。2PUに2ボリューム、2トーンとなり、スタンダードモデルと同等のサウンドバリエーションを持った多機能なギターとなっています。その後細かな仕様変更を繰り返しながらも、レスポールモデルの売り上げ不振により、1960年には生産が終了してしまいました。
特徴的なボディカラー
レスポール・スペシャルの特徴といえばやはりそのポップなカラーでしょうか。一番の人気カラーは画像のTV Yellow(Limed Mahogany)ですが、こちらのカラーは当時の白黒テレビに映えるカラーとして選択されました。現在ではカラーテレビになっていますが、この明るいカラーは特にバンドのフロントマンが使うとよく映えていますね!
現在ではさらにカラーバリエーションも増え、サンバーストやチェリーレッドの他にもブラウン、ブラックなどが展開されています。
日本国内では有名どころで、藤原基央氏(BUMP OF CHICKEN)、奥田民生氏、山口隆氏(サンボマスター)、後藤正文氏(ASIAN KUNG-FU GENERATION)などが使用しており、非常に人気の高いモデルです。
軽量なボディ
レスポール・スペシャルは、コスト削減のために、ボディのトップにメイプルを貼っていない、フラットトップが特徴となっています。これによりボディの重量が格段に軽くなり、取り回しがしやすいというメリットがあります。レスポール・スタンダードや、レスポール・カスタムが約4.0kg~4.5kgの個体が多い中、レスポール・スペシャルは大体3.5kg程度の個体が多く、長いステージでも楽々です!
サウンドに関しては、メイプルの硬質なサウンドが混ざらない分、生鳴りはあたたかい中音域が特徴となっています。
ピックアップ
レスポール・スペシャルといえばこれ!「P-90」ピックアップです。現在では一般的なレスポールにはハムバッカーが搭載されますが、レスポールジュニアや、スペシャルにはP-90というシングルコイル・ピックアップが搭載されています。フェンダー・ストラトキャスターなどに搭載されているシングルコイル・ピックアップとはコイルの巻き数や幅が異なるため、サウンドの傾向としては少しハムバッカー寄りではありますが、しっかりと歯切れのよいシングルコイルの特徴も持っています。
クリーンサウンドから、クランチサウンドあたりを得意とし、カッティングプレイなどのキレのある奏法にもマッチします。非常に扱いやすいサウンドとなっており、様々なジャンルで活躍できそうですね。
3連ペグ
現行のモデルでは各弦で独立したクルーソン・ペグが採用されていますが、当時は1~3弦、4~6弦のペグがそれぞれプレートで繋がった、3連ペグが採用されていました。メンテナンスのしやすさや、故障したペグの交換の際には圧倒的に独立したペグの方が便利なのですが、古いギブソンのギターが好きな人にとってはこの辺りもシビれるポイントですよね!
ラップ・アラウンド・ブリッジ
現在のレスポールではT.O.M(チューン・オー・マチック)とストップテールピースを採用して、各弦のオクターブを調節できるようになっているモデルがほとんどですが、こちらは一味違います。ラップ・アラウンド・ブリッジと呼ばれる、テールピースの上側に弦を回して通すだけ、という超原始的な仕様のブリッジとなっています。実は1960年当時にはすでにT.O.Mは開発されており、スタンダードやカスタムには搭載されていましたが、スチューデントモデルという位置付けのジュニア、スペシャルには採用されていませんでした。
オクターブ調整が独立して出来ず、ブリッジの両端にあるネジで位置をずらすだけしかできないので、ピッチは正直合いづらいです(というかピッタリには合いません!)。
しかし、パーツが単純で分割されていない分、弦振動の伝達率は良く、ボディの鳴りは良い個体が多いのも特徴で、一長一短といった仕様ですね。
オクターブがどうしても気になる人がバダスブリッジに交換しているのはよく見かけます(笑)
サウンド
サウンドに関しては、一般的なレスポールのサウンドをイメージしているとかなり面食らうと思います。いい意味でスタンダードモデルとは違った個性があり、今ではバリエーション機種としての位置づけをしっかりと獲得しているのもサウンドが全く異なるからだと思います。
前述のとおり、ボディにメイプルを使用しないスペックのため、音のピークはかなり中音域に寄り、生鳴りはむしろSGに近い印象を受けます。プラグインサウンドに関しては、フロントピックアップの甘く太いサウンドとは裏腹に、リアピックアップはブリッジとの距離が近く、かなりトレブリーなサウンドとなります。ミックスポジションでそれぞれの音量バランスを整えることで、多彩なサウンドを出力できるため、使い方次第ではどのようなジャンルでも通用するのではないかと思います。
まだ、レスポールスペシャルを弾いてみたことがない方は、ぜひミックスポジションの多彩さをお試しください!
さいごに
いかがでしょうか?この記事で少しでもレスポールスペシャルの魅力が皆さんに伝われば幸いです。今後もギターの歴史やスペックの特徴などについて紹介していければと思っていますので、よろしければご一読をお願いします!
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