文化人類学的に見る楽器の世界 ~発祥地と伝達地の関係?!~ 

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先日、あるコラムを読んでおりましたら、レプリカブランドのバイヤーの方がアメリカに仕入れに行った際に、自社で生産したヴィンテージレプリカのシャツを着て歩いていると「売ってくれないか?それ本物だろ?」と言われたのが本当に嬉しかったと取材に答えておられました。

日本のファッション界では、「レプリカブランド」というジャンルがあるのをご存知でしょうか。
レプリカ=偽物、という訳ではございません。偽物を作って販売しているというような違法なことでもございません。

では、どういうブランドなのか?といいますと、もう既に作られていないヴィンテージのディティールを完全に再現すべく研究し、今の時代に同じスペックで作ってしまおうというコンセプトを持ったブランドのことを指すのでございます。

例えば、「19■■年頃まで作られていた、〇〇のデニムと極力同じデザインを2018年に復刻する」というような塩梅でございます。

そんなブランドの方が、自社の製品が本国のしかもバイヤーの目を欺いたとなるとどれほど嬉しかったのだろうか?と上記のコラムを読んで思いました。

そのバイヤーの方は、製品が出来上がってから日常で着用していく中でも努力をしていたそうです。洗濯機がない時代のシャツの復刻だということで、洗濯は洗濯機を使わず、いつも手洗いで洗ってその当時に受けたであろうダメージまでも再現すべく数年メンテナンスをされていたそうです。

出来る限り、ナチュラルに劣化していくように・・・これはまさに、レリック加工そのままですよね。

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この話を読んでおりますと、本当に日本人は拘りの強いマニアックな人種なんだろなとつくづく感じます(笑)

どれだけ、往年の名機といわれる年式の仕様を復刻しているか。そこに対する強い拘りが見え隠れします。

昔、聞いたことのある話で、今回のような話にピッタリだなと思う事がございました。

文化人類学の世界では、非常にスタンダードなお話だそうですが、
「文化や言葉は遠隔地に温存されやすく、発祥地と伝達地では違ったスピードで変化していく」
というのがあるそうです。

楽器の世界の場合、遠隔地は日本でしょうか。発祥地はアメリカとなりますね。

発祥の地のアメリカでは、次々と変化が生まれていくが、遠隔地の日本では基本に忠実に、出来る限り変化をしないように守っているという感じでしょうか。

アメリカでは革新的な変化をどんどん躊躇なく盛り込んで新しいシリーズを発表していく。
日本の新シリーズは「〇〇年仕様の復刻シリーズ」というような往年の仕様を再現するシリーズ。

こういった図式が実際に多かったと思っているのは私だけではないと思うのですが、どうでしょうか(笑)

アメリカの方やイギリスの方よりも、日本人の方がヴィンテージに強い拘りを持っていると言われるのはこの辺に理由があるのかもしれませんね!!

1-2018-08-19

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