定番モデルの音、ご存知ですか?~チューブスクリーマー~ 

  

オーバードライブの大定番モデル、チューブスクリーマー
ギタリストなら誰もが一度はこの緑色のエフェクターを目にしたことがあるのではないでしょうか。

説明不要であるほど定番モデルとして定着しているエフェクターですが、そのサウンドコンセプトや特性はご存知でしょうか?
定番モデルだからこそ着目しにくいその本質。今回は名機チューブスクリーマーの秘密をご紹介いたします!

チューブスクリーマーの歴史

市場にはじめて登場したのは1979年。日伸音波製作所(※1)が開発し、星野楽器(※2)がIbanezブランドの製品として販売を開始。
基になったのは日伸音波製作所がMaxon製品として販売を行っていた「OD808」というペダルで、星野楽器のOEM商品として「TS808」に改名されたのがチューブスクリーマー(以下TS)の起源です。

そのサウンドが生まれたきっかけは、まず、当時歪みエフェクターの主流であったBOSS OD-1やMXR Distortion+に対抗するための企画でした。
あらゆる種類のギターやアンプに対応できるような箱鳴り感のあるサウンドをコンセプトとして開発。伝統あるTSサウンドの誕生です。

そのサウンドは当時としては新しく、世界で認められる大人気モデルとなりました。
スティーヴィー・レイ・ヴォーンをはじめ、世界各国のプロミュージシャンが愛用し、いくつもの派生モデルも登場。
また、いくつものエフェクターブランドがコピーモデルやモディファイモデルを開発されており、世界で最もコピーモデルが多く存在するエフェクターとなりました。
現在ではオーバードライブの一つのカテゴリーとなっております。

※1:Maxonを中心に製造・販売している会社。1966年創業、所在地は長野県松本市。
※2:IbanezやTAMAを中心に製造・販売を行っている会社。1908年創業、本社所在地は愛知県名古屋市。

サウンドの特性

歴史ある名機。その肝心のサウンドはいったいどのようなものなのか。

TSサウンドの特徴として、
・マイルドなサウンド
・中音域に寄っている
・ブースターとして優秀

などが主に挙げられます。

TSには歪み量が少なく、ゲインを上げると単体では音がこもり気味になるため、メインのオーバードライブとしてはなかなか使いづらい傾向にあるという特徴もございます。

しかし、チューブアンプのドライブチャンネルや他の歪みエフェクターと組み合わせた際がTSの真骨頂です。
アンプのドライブサウンドをそのまま全域ブーストしてしまうと余分な高音域や低音域まで持ち上げ、ブーストサウンドとしてはまとまりのないサウンドになってしまいます。
そこでTSを組み合わせると、中音域に寄った特性が上手く働き、ブーストした際に余分な高音や低音をカットしたまとまりのある最高のサウンドに仕上がります。

また、歪みを抑えたクリーンからクランチのサウンドも優秀だと筆者は感じています。
マイルドなサウンドのため、クリーンサウンドでのコード弾きや甘いアルペジオなどでも気持ちのいい音が出力されるのです。

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以上のご紹介からお分かり頂けるように、特徴的なサウンドでありつつも、その実用性が評価され世界的な名機となりました。
今では定番のモデルになりましたが、オーバードライブとしての王道を知っておくと今後のエフェクター選びに役立つことがあるかもしれません。

前半にご説明したように、数々のコピーモデルが生まれているのもTSの特徴です。
よりまとまったサウンドに仕上がりメインのオーバードライブとしても活躍するなど、それらはモデルによって様々な改良が施されております。
オリジナルTSのサウンドと比べてみるのも面白いですし、オリジナルに対し「もう少しこの部分が改善されれば・・・」と感じる方は、コピーモデルから探してみるのもオススメです。

多くの魅力を秘めたオーバードライブ、チューブスクリーマー。
この機会に、改めてそのサウンドに注目してみてはいかかでしょうか!

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