真剣にギターに取り組んでおられる方で、それがエレキギターであれば一度はバンドを組んでみた経験があるかと存じます。
ギタリストというのはソロも弾く花形なので、バンドでは同じく花形のボーカルにライバル心を燃やしやすい傾向にあります。
ギタリストが作った曲に「歌詞、歌メロをつけてくれ」と言われたボーカルが「デモ曲のここの部分だけはどうしても変えてほしい」と言ってきた場面などは”コード進行、ギターリフやフレーズを変えたくないギタリストと衝突”想像に難くない場面ですね。
スタリハで「歌いづらいから音量下げてください」なんてボーカルに言われたときには「アンプの音量下げたくない」というのがギタリストの本音でしょう。
楽器が弾けなくて大して歌もよく練習しているかわからない人であればよっぽどイケメンでないかぎりは新しいボーカルを探せば良いだけ話なのですが、そうでもないケースももちろん世の中には存在します。
ロックバンドってアンプ爆音じゃないの?
先日、とある新聞の記事を目にしました。
学生時代、当時テニス部だったB’zの稲葉さんを”練習の声出しがハイトーンだった”というきっかけで「一緒にバンドをやろう!」と誘った方のインタビューだったのですが(誘った人グッジョブ!)
LOUDNESSを聴かせて一緒にコピーバンドを組んで発表して凄く盛り上がったけれど
当時の稲葉さんは練習の時の本意気が披露できず悔しがっていた
その原因が発表の当日に目立ちたくてギターアンプの音量を上げたことだったかもしれない
でもあの時の悔しさが彼を本気にさせたのではないか
今となっては連絡を取り合うこともなくなったけれど私はCDを全部揃えるほどの彼のファンだ
という内容の書かれた記事でした。
(覚えている内容だけで書いたので間違いがあるかもしれませんが….)
この記事でお伝えしたいのは”天性の才能があってもアンプの音で歌が思ったように歌えないというのはある”ということです。
なにが起こったのか
アンプの音量を本番で急に上げられた時にボーカリストに起こったと推測される現象を解説すると
(発声というのは一人ひとりもともとの状態が違うので一概に言えない部分があります。)
訓練を積んでいない状態で力強い音や高音を発声しようとすると、”呼気を多く出して力を入れて喉を締めてアプローチしようとする場合が多い”ので大きな呼気で声帯が吹き飛ばされて、もしくは力を入れた喉で声帯がうまく震えず、音がうまく出ないということが起こったと推測されます。
ギタリストのエゴでバンドの歌が微妙になってしまっては本末転倒、バンドサウンドに迫力を持たせながら(なるべくギタリストの自分がかっこよくなりつつ)ボーカルがかっこよくなる手段はないものか。その答えはメジャーのアーティストのライブにあるのかもしれません。
そんな音でいいの!?
今年の7月初旬にライブを見に行きました。
楽器隊のキャリアが昔から個々にあり、武道館公演を行うようなアーティストです。
開場して開演前に各楽器バラバラに最終の音出しをしていました。
え!?ベース、図太いけどミッドが少し足りないような…
え!?ギターのローがちょっと物足りない….
開演して演奏が始まってからは全体のバランスが整った素晴らしいアンサンブルでした。
単体で演奏するときの良い音はバンドで合わせる時の良い音とは違うサウンドなのです。
そんな当たり前のことはわかってはいるつもりでしたが実感を伴った経験で勉強させていただいた気がしました。
少し足りないと思ったベースのミッドの部分にギターの音域が被っている
その被っている部分を削ることで音量が大きくても歌いやすい状態や全体のクリアな音像を作り出していたのです。
バンド全体で音作りをしているという感覚はプレイヤーとして忘れてはいけない視点なのではないでしょうか。
相手への思いやりを最大限行った上で主張する。そんなギタリストであれれば最高ですね。
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