アダプターのはなし(3) 

アダプターについて書くだけのニッチなこのコーナー、
第三回はAC/DCアダプターの種類をご紹介します。

AC/DCアダプターには「トランス方式」と、「スイッチング方式」があり、「トランス方式」には「非安定化タイプ」と「安定化タイプ」があります。計3種類です。

1、「トランス方式(非安定化タイプ)」
アダプターに電圧安定化回路を備えないもの。接続する機器に搭載された回路により電圧を安定化しており、適正な機器と組み合わせて初めて表示通りの電圧が得られる。

長所・・・機器の中で安定化が行われるため、外来ノイズに強い。
短所・・・機器との組み合わせにより負荷電流(アンペア)が変わると電圧が変わってしまう。アダプターと機器を適正に組み合わせなければ最悪の場合、繋いだ機器の破損や事故に繋がる。

BOSS ACA-100などがこの非安定化タイプにあたります(写真1)。
このタイプはアダプターに「OUT PUT 9V」という記載があったとしても、実際にはそれより高い電圧を出しており、他の機器に流用するのは危険です(9VアダプターであるACA-100も、12~13V程度の電圧を出しているそうです)。

2、「トランス方式(安定化タイプ)」
アダプター側に電圧安定化回路を備えたもの。負荷電流(アンペア)が変わっても電圧自体はほぼ変化しない。

長所・・・最適な組み合わせではない場合でも機器を傷める可能性が低い(ただし、機器の消費電流がアダプターの供給限界より少なくなければいけない)。
短所・・・アダプターから機器までの間に外来ノイズが入ってしまう事がある。

BOSS PSA-100Pなどがこの安定化タイプにあたります(写真2)。
機器の消費電流に関わらず記載通りの電圧を出力するので、流用した際にも安全度は高くなります。ただし、そのアダプターが安定化タイプなのか非安定化タイプなのかを見た目で判断するのは困難です。確かにそれとわかる場合を除いては流用は控えるのが望ましいでしょう。

3、「スイッチング方式」
比較的近年になって電化製品に採用されはじめた形式のアダプター。高性能ですが、万能というわけではありません。

長所・・・軽量、小型。発熱が少ない。安定化タイプと同様、電圧は常に一定しており、最適な組み合わせではない場合でも機器を傷める可能性が低い。
短所・・・比較的高価である。スイッチングノイズという特有の高周波ノイズが発生し、一般に音響機器には向かないと言われている。

BOSS PSA-100S(現行のBOSSコンパクトエフェクター用のアダプター)などがスイッチング方式のアダプターにあたります。
スイッチング方式はトランス方式と比べかなり軽量であるため、この二つは見分けることができます。ノイズに関しては、使用する機器の特性により問題になる場合とそうでない場合とがあります。電子鍵盤やMIDIコントローラー、MTRといったデジタル機材との相性は良く、多く用いられています。半面、アナログエフェクターとの組み合わせではノイズの原因になることがあり、しばしば敬遠されます。ちなみにPSA-100Sはコード部分に高周波ノイズを軽減する回路が付けられており(写真3)、適応するBOSS製品を使う場合ではノイズはほとんど問題にならないそうです。

さて、アダプターのはなしは今回で最終回となります。
お付き合いいただきありがとうございました。僕自身、一連の記事を書くにあたって色々と調べる過程で知ったことも多く、またご意見を頂いたこともあり勉強になりました。

この記事が何かのお役に立てば幸いです。

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