TS系エフェクターのサウンドの要? 

先日、TS系のエフェクターについて別の商品、別の機会、それぞれ別の方からお問い合わせがありTube Screamerを取り巻く、その影響下にあるエフェクターや音づくりについて考えさせられることがありました。

Tube Screamerはスティービー・レイ・ヴォーンの使用はもちろん、ジョン・メイヤーも虜にし、かと思えばメタルのソロのときのブースターとしても使用され、製造時期や詳細な機種はまちまちでも、誰もが一度は弾いてみたことがあるエフェクターなのかもしれません。


その古典的なモデルを元に(影響下に)製造されているのがTS系と呼ばれるエフェクターです。
ミドルの柔らかいTS808を狙った音なのか
音が明るいTS9を狙った音なのか
はたまたレンジを広げたり、コントロールが足されたり、アレンジありの独自解釈なのか

大枠の認識は合っているものの、プレイヤーごとに使い方や感じ方、求めているものが違うという不思議なことが起こるが”TS系”です。

冒頭で話題にあがった御二方は、お話していて「音が籠もるのは好みではない」派と、「中域にぎゅっとまとまって欲しくて、籠もってもいいからとにかくミドルがほしい」派に綺麗に別れました。
両極端なのでは?とお思いの方がほとんどかと存じますが、Tube Screamerそのものでなく、派生のTS系まで含めるとこれが不思議なことではないんです。

「音が籠もるのは好みではない」派の方はシングルコイルのギターをご使用で、ほしい高域は残しつつも耳に痛い成分を上手くスポイルしたい要望もお持ちだったのかな?と後で推測したりもしましたが、それでも
「別のエフェクターのこと言ってる?」と思ってしまうくらいの幅の広さ懐の広さを感じずにいられないのがTS系です。

なぜこんなことが起こるのか

Ibanezのブランド内でも幾度かのモデルチェンジ、派生モデルの登場があったことは大きいですが、
・モディファイ品の流通。
・有名メーカー各社のマルチエフェクターにTSがモデリングされた音色が入っていた影響

上記2点は大きいとは思います。

サウンドの雰囲気は知っていてIbanezの実機を所有したことがない方がTS系のエフェクトを使っているというなかなか奇異な状況があり、ユーザー側、各社メーカー側、それぞれがTS系サウンドの伝言ゲームをした結果なのかもしれません。

「近くにお店がなくてエフェクターは通販で済ませている」
「気になったら片っ端から買って試して不要であれば売っている」
というお声も最近は少数派ではなくなってきましたのでTS系エフェクターの音のキャラクターに差を与えている要素のひとつをお話して終わりにしようと思います。

クリッピング

クリッピングのスイッチがついているTS系エフェクターを触れられたことはありますでしょうか。
3wayのミニスイッチのついているモデルを試した際は切り替えるとかなり印象が変わるものがありました。

クリッピングを歪みの量と表現しているメーカーさんがありました。
わかりやすくざっくり説明としてはこの上ないのですが、ゲインのノブの効き具合がガラッと変わるといったほうがプレイヤーの方に馴染みがあるのではないでしょうか。

クリッピングの切り替えは内部で、ダイオードの種類や、個数などを選ぶことによって波形が対称か非対称かをコントロールします。

難しいことは放っておいて、TS系を考える際に知っておけばいいクリッピングの種類は下記3つです。

・クリッピングなしで直接オペアンプに入るとクリーンブースター的な動き
・LEDクリッピング(エッジがあり明るく歪む、一概に言い切れない面もあるが最も歪むモードに設定されていることが多い)
・シリコンダイオードによるクリッピング(元祖TS808を彷彿とさせるミッドの強い歪み)

「早い段階から歪み始めて、潰れる(よくいえばまとまる)タイミングが早い」「中域がプッシュされる」などをお求めであればシリコンダイオードによるクリッピングを選ぶのが良い結果が得られることが多く

「レンジが広く、クリアにブーストしたい」のであればクリッピングなしを選べば良く

「ヘッドルームは広めだけど歪みと多少のコンプレッション感を得たい」のであればLEDクリッピングがおすすめです。マーシャル的ドンシャリなサウンドメイクを個人的には連想します。

ダイオードのパーツの種類にも持ち味がありますので、そちらまで加味しだすとキリがないのでここで終わろうと思います。

回路の話や波形の難しい話は省略しましたが、世の中にはTube Screamerに関する書籍がありますので興味をお持ちでしたら探求してみるのも面白いかもしれません。

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