1980年代にSteinbergerが開発したヘッドレスデザインのベース「L2」からその歴史がはじまり、近年ではスウェーデン発のstrandbergが人気を博し、キワモノとしてではなく1つのジャンルとして確立したヘッドレスギター。
ヘッドレスギターは製造メーカーやモデルが少なく、人気の火付け役であるstrandbergもそうですが高価なものが大半で、気になったからと言って気軽に試せるものではありませんでした。
ですが、ここ数年でヘッドレスを製造販売するメーカーやブランドが増えてきており、比較的お手頃な価格で手に入れられるモデルも見受けられるようになりました。
先日買い取りさせていただいたこちらの「Ibanez Q54」もそんな1本。
- ヘッドレス
- ローステッドメイプル&ブビンガネック
- Jescar EVO Goldフレット
などモダンなスペックを盛り込みつつも新品が10万ちょっとと嬉しい価格設定のモデルでございます。
今回はどんどん身近になってきたヘッドレスギターの特徴をご紹介していきたいと思います。
とてもコンパクト
最も通常のギターとヘッドレスギターが異なるところといえば「ヘッドがない」ことでしょう。
ヘッドは一般的なストラトタイプで18cm、ジャズベースタイプで22cmほどあり、当たり前ですがヘッドかないことでその分全長が短くなります。
またデザインの傾向ですがボディシェイプも小ぶりなものが多く、総じて「ヘッドレス」のジャンルはコンパクトなモデルがほとんどを占めています。
コンパクトで軽量になることで、持ち運びすやすいのはもちろん演奏中にヘッドをぶつけることもなくチューニングが大きく狂ったり、怪我をしたり、最悪ヘッドが折れるなどのトラブルが起こる確率はぐっと低くなるでしょう。
普通の弦でも問題なし
Steinbergerのギターやベースはダブルボールエンドといって、弦の両端にボールエンドがついた特殊な弦が必要ですが、冒頭でご紹介したstrandbergなど近年のものはヘッド側で弦を固定しブリッジのチューニングノブを回すことで弦を張っていく構造。
よっぽど太すぎるなど特殊な場合を除いて自由に弦の種類を選べます。
ロックペグなどでも言われることですが、弦の巻数などを考える必要がなく、弦交換も非常に簡単。
こういった細かなストレスの無さというのも大きな魅力です。
ばらつきのないクリアなトーン
肝心な、楽器としてはどうなのかというところですが、個人的な感覚になりますがヘッドレスにはヘッドレスの音があるように感じます。
ヘッドの形状による弦やポジションよって不安定共振がなく、ほとんどの場合各弦のナットへの角度が均一なため、各弦各ポジションでの鳴りにばらつきが少なく、和音を弾いた際には非常に綺麗な響きます。
加えて弦をロックしているためか発音もタイトで速く、タッピングプレイでははかなりのアドバンテージを持っています。
ベースにおいても同じ傾向にあり、デットポイントが目立たずどのキーでも安定してボトムを支え、エフェクト乗りも良いためシンセ風サウンドを作るのにも向いていそうです。
でもデメリットもないわけではない
いくつかメリットを挙げてまいりましたが裏を返せばデメリットもある、ということ。
- 良くも悪くもルックスが特殊
市民権を得てきたとはいえまだまだルックスは特殊枠。 - ギターらしい音ではない?
ばらつきなくクリアなトーンということは、ギターらしいトラッドな響きとはニュアンスが異なるため、ジャンルによっては違和感を感じる場合も。
また、テンション感などもヘッドありのギターと違うため、やや慣れが必要かもしれません。 - クリップチューナーが使えない!?
細かなことですが、クリップチューナーが取り付けられないモデルが多く、さっとチューニングするのが少し面倒でしょうか。
と、デメリットといっても主観や感覚のものがほとんどで、ルックスとサウンドさえ気に入ればメリットのほうが断然多いので、気になっている方は1度試してみることをオススメします。
ベース、ドラム、アクセサリ担当:前田
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