楽器をされる方にとって、どうしても欲しかったモデルがそのタイミングでお店になくて個人売買には出ているという状況はとても悩ましい状況なのではないでしょうか。
楽器に限らずネット上での個人売買が盛んになってきた昨今ですが、状態の確認が絶対なのはもちろん、楽器に関しては確認箇所が多く少々専門的な知見が必要です。
さらに必要に応じて調整というのがついて回るのが特徴で、売買の時以外にも気が抜けないことが多くあります。
上記のような「調整で一通りいい感じにしてください。どこかおかしいところがあったら教えてください」といった旨のご相談をお受けした際に調整のついででなるべく気をつけてみている点をおおまかに書いていきますのでなにかのご参考になれば幸いです。
(セットアップも頑張っていますが、買取をかなり頑張っておりますので、売ってお金にしたい楽器があるけれど個人売買が不安な方はぜひご相談ください。)
木部や外観の確認
ヘッドの付け根、ネックジョイント部分などを中心にクラック(割れ)がないか確認します。クラックがあると広がってきてしまうのでチューニングは辞めておきましょう。
ペグのついている箇所とずれてビス穴が空いている場合はペグ交換歴を疑います。
ボディのブリッジ付近の確認、ブリッジアンカーが浮いてきていると正常に弦高調整ができません。
ネックサイドのフレットが打たれている箇所をみるとフレットの交換があるかないかの確認ができます。
状態が悪いと指板インレイは外れたものを接着した痕があったり、隙間が空いている場合もあります。
シリアル形態やブランドロゴ、本体の色合いを確認しましょう。
もし模造品などだった場合は細かい仕様などを調べて発覚するケースもありますが、その細かい仕様を調べる前段階に「違和感」というものがキッカケになることもあります。
「違和感」を感じる要素のまず第一歩は”見た目”からです。
知識は足りていても、もし足りていなくても、まず観察することが大事です。
この「違和感」というのは悪い方向の話だけでなく、手に入れたモデルが思っていたモデルよりも上位の機種だったという話を聞くことがあります。
ハードウェア類パーツ類の確認
ペグが回ってチューニングできるかどうか。
固定用の小さなビスが欠品していないか錆たりしていないか。
パーツのカラーも意外と大事です。色が違う箇所があればよっぽど意図的にそういうものが選ばれたモデルでない限り交換されている可能性があります。
レスポール系だと弦を外す際にブリッジやテールピースの確認もします。
モデル名に合っているパーツが乗っているかどうかも確認します。
電装系は正常に動作しているか、交換箇所はないか
ボリューム、トーン、セレクター、その他機能
この動作確認で電装系の動作に不備があるケースは内部を確認すると交換箇所や改造箇所があることがあります。場合によっては純正のままであっても交換が必要なパーツが発見されることも…。
音が鳴るかどうかだけではなく、音叉を鳴らしてピックアップに近づけてセレクターの適した箇所でピックアップがONになっているかどうかを確認します。
交換して配線が間違えていたり、交換したものを元に戻した際に配線を間違えているとセレクターの確認の際にそれが発覚します。
まずは動作の確認で電装系のキャビティ内を実際に目視確認する前に不具合や交換の疑いのある箇所を洗い出せます。
ストラトタイプなど、電装系がピックガードマウントの場合は特にですが、目視点検のためになにかしら本体から取り外す際は慎重にしないと配線が外れてしまうことがあるので注意が必要です。
※ビスが小さいので紛失に注意しましょう
各パーツについている”はんだ痕”に取り外された痕跡がないか。
電装系のオリジナル度合いは商品価値に直結する場合がほとんどです。
ネックの反り、トラスロッドの確認
チューニングしてネックの反りを確認。
その結果に応じてトラスロッドを締めるか緩めるかの対応をします。
ネックがまっすぐになる箇所まで回して、そこから各方向に回る余裕があるか確認します。
トラスロッドの効きの強さやネックの状態などによって対応するので、トラスロッドに余裕がある場合は締め切ったり、全開放までゆるめることは理想的ではありません。
ネックに過度の負担はかけないためです。
トラスロッドが締め切る側に近い場合に初めて締め切るまで確認して「トラスロッド残り90度ほど」といった表現になります。
あとがき
ひとますは木部の確認、その後は上記内容をギターやベースの仕様や構造に応じて効率の良い順序で確認します。
汎用例をおおまかに書きましたが、モデル名やブランドが具体的な場合は状態の確認はさらに詳細な内容が含まれます。
年式の確認も同時に行える場合がありますが、そちらはこちらでは割愛させていただきます。
例えばはんだ交換痕がなくてもポットが交換されてきれいに配線されている場合もありますので、本体木部の年式とポットの年式やその他の仕様なども照らし合わせる必要があるので、このあたりは点検している棹によって判断材料は変わります。
楽器のあまりものチェック箇所の細かさに、お店から購入することの良さも感じていただけたのではないでしょうか
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