もうすぐ40周年を迎えるモダンベースの雄「Warwick」の歴史 

こちらは先日買取させていただいた、1990年のStreamer Stage Iを再現した特別モデルでございます。

メイプルのボディとネックに指板はエボニー、ピックアップにはバルトリーニを搭載。
現行品よりもボディは薄く、ワーウィックらしくもオープンな鳴りを持った一味違った1本ですので、ぜひこの機会にお手にとってみてください。

そんなWarwickが、来年2022年に創業40周年を迎えます。

ここ最近ではSadowskyの普及モデルMetroLineの製造を担うことで話題を呼んでいますね。
国内にも続々と入荷しているようで、その作りの良さを再確認させた方も多いのでは?

今回はそんなWarwickの歴史をおさらいしていきたいと思います。

Warwickとは

Warwickは、ドイツに拠点を構える楽器メーカー。
それまであまり使用されることのなかったブビンガやウェンジなどの木材を用い、新たなサウンドをもたらしたモダンベースの雄として、ヨーロッパのみならず世界的に高い評価を得ています。

高い演奏性を誇るコンパクトなボディシェイプや、レンチ1本で高さ調整が可能なナット、ビス止めされておらずドライバー不要なロッドカバーやコントロールキャビティパネルなど合理的かつ独自性あふれる仕様を多く採用しています。

現在では、厳選した素材を用い製作される最高峰のCustom Shop、ドイツ製でありながらも、コストパフォーマンスに優れるTeam Built Pro Series、中国工場で製造される普及モデルRockBass、という3つのシリーズを展開しています。

Warwickベース使用アーティスト

  • John Entwistle(The Who)
  • T.M.Stevens
  • Jack Bruce(Cream)
  • Adam Clayton(U2)
  • Stuart Zender
  • Robert Trujillo(Metallica)
  • P-Nut(311)
  • Steve Bailey
  • Bootsy Collins
  • 村田隆行
  • 櫻井哲夫
  • 中村正人 (ドリームズ・カム・トゥルー)
  • TOKIE

など多数。

Warwickの歴史

Warwickは、1982年にハンス・ペーター・ヴィルファー (Hans Peter Wilfer) によって当時の西ドイツの地に設立されました。

1975年に倒産してしいましたが、父親も同じ楽器メーカーであるフラマス (Framus) の創業者であったことから、ハンスは幼いころから工場に出入りし遊びながら楽器に関して多くのことを学びました。

1982年、Warwickはヘッドレスベース「Nobby Meidel(ノビー・メーデル)」というモデルを発表します。
このNobby Meidelは、ヘッドレスギターのオリジンであるSteinberger(スタインバーガー)に酷似しており、Warwick公式でもそこからの影響を認めています。

その他同時期に、ジャズベースボディにPピックアップが2基搭載された「JB Bass」や、PJレイアウトの「TV Bass」などが製作されていたようです。
(TV Bassは、リバースPピックアップにやや丸みを帯びたボディ形状をしており、YAMAHA BBからの影響も感じますね。)

当初、安定したネック材の選定に難航しいたハンスは様々な材を試し、結果現在もWarwickの大きな特徴となっているウェンジ材が採用されることとなります。
またこのときにはすでに順反りと逆反りの両方向に調整が可能な2WAY方式のダブル・アクション・タイプのトラスロッドなど、新しく合理的な仕様も盛り込まれていました。

その後、1983年に現在も定番モデルとなっている「Streamer Stage I」を発表します。

ご存じの方も多い話ですが、このStreamer Stage Iは米国の「Spector NS」を模して作られたものでした。
世界的に人気を博していたSpector NSですが、ヨーロッパでは入手しづらかったことに当時経営が波に乗っていなかったWarwickは着目したのでしょう。

その結果、Streamer Stage Iは大ヒット。
勢いづいたWarwickは翌年に「Thumb Bass」を発表。
硬質なブビンガやオバンコール材は当時としては珍しく、斬新なサウンドをもたらしたWarwickの名は世界に広がっていきました。

そんな中、1985年にヨーロッパの楽器見本市「Musikmesse」に出店のをきっかけに本家Spectorに無許可で製造されているWarwick Streamerの存在が見つかってしまいます。
「Streamer販売停止=Warwickの危機」と判断したハンスはSpectorと交渉し、ライセンス料の支払いと、ヘッドへ「Licensed by Spector」と表記する、という条件でStreamerの製造を続ける許可を得ます。

これによってWarwickの経営は一段と安定し、Streamer Stage II(1986)、Dolphin(1987)、Corvette(1994)、Infinity(1995)など数々のヒットモデルを発表。
1995年に20年前に倒産した父親の会社Framusをwarwickブランドとして復活させ、2002年には中国製の廉価ラインナップ「RockBass」の展開までも実現します。

2000年あたりから、よりメタリックでヘヴィーなベースサウンドを求るミュージシャンが多く現れ、その需要にバッチリはまったWarwickはさらに躍進、その地位を確固たるものとします。
そして現在では、ロックはもちろんポップスやジャズに至るまで、ジャンルを問わずに愛用され、ベースの1つのスタンダードとして市民権を得ています。

Spectorとのその後

先ほども書いた通り、1985年に無断コピーモデル製造がバレたWarwickは、Spectorへライセンス料の支払いと、ヘッドへ「Licensed by Spector」と表記することを約束したのですが、この話には続きがあります。

本家であるSpectorのスチュアート・スペクターは、よりブランドを発展させるべくKramer社にSpectorを売却。
売却後はKramer社内でSpectorブランドの責任者として活躍していたスチュアートでしたが、HR/HMの人気が下火となった1991年にKramerが倒産してしまいます。

Spectorの商標ごとKramerに売却していたためSpectorの名が使えなくなったスチュアートは新会社Stuart Spector Designs(SSD)を立ち上げ、Spectorの商標を取り戻すためKramer社に裁判を挑みます。
8年にも及ぶ裁判の末、スチュアートはSpectorの商標を取り戻し、これにて一件落着かと思いきやトラブルはまだ続きます。

Spectorの商標を取り戻し明らかになったのは、Warwickがライセンス料を支払っておらず、Kramerもそれを積極的に請求していなかったこと、そして「Licensed by Spector」の表記をコピーモデルであるStreamerのどこにもおこなっていなかったという事実でした。

スチュアートは、Warwickに対しライセンス料の支払いを求める訴訟を起こしますが、すでに世界的な知名度と人気を持っていたWarwick SpectorはSpector NSとは異なる製品と判断され裁判はWarwickの勝利で幕を閉じます。

この出来事により、両ブランドのファンの間に確執が生まれ、時折インターネット上で論争が巻き起こっているようです。

ベース、ドラム、アクセサリ担当:前田

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