オリジナルパーツに戻して再販をしていくと気づけばエレキギター用のピックアップがそれなりの量が溜まってきたりもします。
線の残りの長さによってはピックアップ自体も再販することもあるのですが、配線の残りの長さによっては再販が保留されているケースもあります。パーツのストック入れに珍しいパーツがありました。
PJ marx
EMGのような見た目ですが、パッシブのピックアップです。
底面に412のステッカー、こちらが型番。
配線をみると4芯のタイプです。
この個体は配線の長さ的に、どうやらリアで使われていたようですね。
812はリア用やフロント用などの識別はないとの情報や、412は812をリアに配した時にフロントでマッチするようになっているとの情報も見かけますが、新品販売時の書類を見てみないことにはなんとも言えませんね…。
※412の説明書と思われる画像が見つかりました下記の通り書かれていました。
A clean, high output pickup with maximum noise and feedback sup-pression.
Lots of bottom, smooth highs and mids.
Recommended uses: High volume distorted rock and roll.
このPJ Marxというのは、海外サイトでも検索しきれずに助けを求めている声をよく見かけます。
それほど珍しいピックアップかつ情報を探るのが難しいピックアップといえます。
現物を持っているので抵抗値を測ってみました。
直流抵抗値は7.36kΩ
ドライバーを近付けてみた時の引っ張られようから、磁力は強そうだと思っていたので意外でした。
マウントスクリューを取り付ける側の側面は明らかに磁力が弱いようで構造も通常とは違うのかもしれません。
Night Rangerの使用で有名なPJ Marx
ところで、PJ marxピックアップといえば、Night Rangerですね。
今の若い世代には馴染みがないように感じますが、影響は絶大でエレキギターの奏法の歴史を語る上では外せないバンド。
ブラッド・ギルス、ジェフ・ワトソン、2人のギター・ヒーローが活躍するバンドで、より現代的なテクニカルなギタースタイルを確立したのがナイト・レンジャーです。
実際にフロイド・ローズ本人がハンドメイドで製作したトレモロユニット、ファインチューナーがまだ取り付けられていない最初の個体のうちの一つを入手して使用したブラッド・ギルスはクリケット奏法なども世に広め、トレモロアームを使用したプレイにおいて直接的間接的問わず彼の影響を受けていないプレイヤーはいないでしょう。
そんなブラッド・ギルスに負けないのがジェフ・ワトソン。
速いフレージングが得意で、左右4本ずつの指をフルで使うタッピングの8フィンガータッピングは凄まじいプレイです。
ギターヒーローが同じバンドに2人もいて、それぞれプレイスタイルが違う、しかもメロディアスな楽曲。
ぜひ聴いたことがない方に聴いてほしいバンドです。
ちなみに、PJ Marx “Brad Gillis”ピックアップはレントゲン撮影して中身を確認した方がいらっしゃるようで、そこのレントゲン撮影の画像ではワイヤリングされていない様子が見てとれます。
バー状のマグネットからワイヤーが出ているようです。
使用アーティストはナイト・レンジャーだけではない
その他の情報としては、意外な人物が使用していたことはご存知でしょうか。
live at montreux 1990(スイスのモントルー・ジャズ・フェスティバル)でのステージでゲイリー・ムーアもPJ Marxピックアップを使用していたようです。
The Stumbleで寄りの映像になった際にPJ Marxの白文字が映り込む場面があります。
(Gary Moore & The Midnight Blues – Live at Montreux 1990のDVDのパッケージの写真を検索していただければDVDがなくても確認できます。)
その他にも、Cliff BurtonのAria Pro II SB-Black ‘n’ Goldに搭載されていた説もあり。
そちらは9/26/86 彼が演奏した最後のベースとしてメタリカ・ミュージアムの一部として展示されていたようです。
著名なミュージシャンに愛されたが、今は謎多きブランド。
リアルタイムで新品を購入された方にお話をお伺いしたくなるパーツでした。
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