【シングルリード】7割のハズレを当たりにできる? 

クラリネットやサックスのリードは1箱3,000円ほどで売られていますが、そのうち「アタリのリードは3割」とも言われています。毎度2,000円以上が無駄になってしまうと考えると、とても悲しい気持ちになってしまいますよね…。今回はその7割のハズレリードを使えるようにする方法をご紹介します。

リードの番号の意味

リードには3や3半(3-1/2)というように数字が振られていますが、そもそもこの番号はどういう意味なのでしょうか?

厚さと思われがちですが、番号は「密度や硬さ」によって振られています。数字が大きくなるほど硬いリードであり、吹いたときの抵抗感が強く、小さくなるほど柔らかいリードであり、吹いたときの抵抗はあまり感じられません。リード制作に於いては、すべてのリードに同じカットを施した後にコシの強さを計測して分類されているのです。

良いリードとは

では、良いリードとは何をポイントに見極めればよいのでしょうか?ここでは見た目のポイントをご説明します。

繊維の状態を見て

まず上の写真の向きで見た時に左右対称であることが大切です。
左右の振動効率が異なると鳴りの悪さに繋がってしまいます。先端が割れたり欠けたりしていないことはもちろんですが、リードを光に透かして見たときに繊維がまとまっていて左右対称であれば良いリードであることが吹かずとも確認できます。
上の写真は1番左が良いリードで、右にいくにつれて吹きづらさが増していくようにリードを並べました。繊維のまとまり方や、左右のバランスが伝わりますでしょうか?

次に、反っていないことが大切です。これも振動の仕方に悪影響がでてしまいます。もし使っているうちに反りや波打ちが見られたら、乾燥させてリードケースなどの平らなガラスの上に置いておくと元の状態に戻ります。

反りの状態を見て

育て方

リードは開封してすぐに2時間連続で使う…なんてことがあってはいけません。毎日少しずつ使用時間を伸ばして慣らすことで、開封したての新しいリードが安定した良いリードに成長します。
リードを慣らすには1週間以上を要します。初日に吹いた感触と、その翌日とでは感触が変化することもあるので、第一印象で決めつけないことが大切です。

1日目:1分
2日目:2分
3日目:3分
4日目:5分
5日目:10分
6日目:15分
7日目:30分

こちらは一例ですが、時間をかけて少しずつリードを育ててあげてください。 リードに数字や目印を付けてその日の状態をメモしておくと、リードの変化がわかりやすいです。

試奏のときに何を基準にチェックしたらいいの?という方は

  • しっかりと響くか?
  • 雑音がないか?
  • 豊かな音色(安定した、太いボーッという音)であるか?
  • どの音域も均等に鳴るか?

以上4つのポイントを参考にしてみてください。

調整法

ここでいう調整とは、リードを削る、切るなどして振動効率を揃えることをいいます。

上記の「育てる」工程を踏まえた上で「いい音が出るが苦しい」、「全体的に振動しない」というように鳴りにくいと感じるリードを削って調整していきます。調整も育てる工程と同様に数日かけて少し削っては試奏して…を繰り返します。

前置きが大変長くなってしまいましたが、いよいよ調整の方法をご紹介します!

【用意するもの】
  • カッターまたはリードナイフ
  • サンドペーパー( #400 ~ 800)
  • メラミンスポンジ
  • コピー用紙またはサンドペーパー(#4000)
  • アクリルボード(リード裏面用)
【手順】
1.どう鳴りづらいかを判断する。

[ケース1]マウスピースを色々な角度で吹いてみて、鳴りづらい(・鳴りやすい)ところがある。
普段は真上からくわえているマウスピースを下の写真の1~5のように角度を変えて演奏してみてください。やけに吹きにくい角度が見つかるかもしれません。

[ケース2]ケース1のチェックで左右のバランスに問題はないが、ストレスを感じる。
上のどちらのケースに当てはまるか?を判断して、この先の工程でどのように調整していくかを決めます。

2.削る

[ケース1]の場合
重く感じる箇所の先端より少し奥をメラミンスポンジ(または、サンドペーパーかカッター)でなぞり、バランスを整えます。 下の写真でいう5の角度が吹きづらいと感じれば赤い丸の当たりを優しく削ってください。 使う道具は吹いてみてどのくらい鳴りにくいかで選択してください。わからなければ目の細かいものから(メラミンスポンジ>サンドペーパー>カッターの順に目が細かいです。)順番に試していくとよいと思います。先端は繊細なので手を加えない方が無難です。 削る位置

[ケース2]の場合
コピー用紙か4000番くらいのサンドペーパーをアクリルボード(無ければ机などの平らな面)の上に置き、円を描くようにリードのマウスピース側の面を少しだけ削ってください。長期間使って丸まってしまい、ガラスの上で保管しても治らなくなったリードにも有効な手段です。

3.鳴りをチェックする。

1.と同様にマウスピースを傾けて色々な角度から吹いてみて、吹奏感の変化を確認する。ここで不十分だと思ってすぐに2.に戻るか、時間を置いてに2.に戻るかは腕の見せ所です。削りすぎては取り返しがつかないので、ゆっくり慎重に作業を進めてください。

最後に

ここまで、使えないリードを少しでも減らせれば…という思いでリードの調整法をご紹介してきましたが、私自身調整を失敗した経験もございますので皆様くれぐれも自己責任でお願いいたします!
すべての工程でじっくりゆっくり慎重におこなうことが大切です!

店頭では、管楽器本体だけでなくリード、キィオイル、コルクグリス、スワブもご用意しておりますので、小物のご購入だけでもぜひお立ち寄りください。 また楽器本体以外にもマウスピース、リガチャーの買取もおこなっております。買い替えでご不要になった小物類の買取もお気軽にお問い合わせください。

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