ハイセンスなギターが入荷しました。
1966年製のBobkat
ビザールギターがお好きであれば思わず注目するギターですね。
ルックスがまず良い。
Sonic YouthのThurston Moore(サーストン・ムーア)の若かりし頃の写真に写っていたり
ジョン・スペンサーが使用していることや
St.Vincent、アニー・クラークの使用で取り上げられたり
どちらかというと独創的なセンスが光るプレイヤーに好まれている印象があります。
乾いたサウンドですが、意外と電装系のパワーがあって空間系エフェクトのノリが良いです。
ブリッジポジションでクランチサウンドがたまらなく”刺さる”サウンドですね。
フロントのほうに切り替えると音量が上がります。
歪みを強くしていくとノイジーでかっこいいサウンドが出てます。
不思議なことがあるものです。
今回入荷したのがAirlineとヘッドにロゴがある個体でした。
しかし、Harmony、Silvertoneなどがヘッドロゴにある個体。
他ブランド?のBobkatも存在します。
2ピックアップや1ピックアップ等の仕様の違いなどもありますが、同モデルの範疇の変化。
どうやらコピーモデルというわけでもなさそうです…。
どういった経緯なのでしょうか。
各ブランドの由来を調べていると…
・SuproやNationalギターで知られるVALCO Companyが1958年~1968年の期間に製造・販売していたのがAirline
・Sears & Roebuck社が1915年~1972年まで使っていた楽器や音響機器のブランドがSilvertone
・Harmony、1892年創業のアメリカのギター・メーカー
全盛期、全米最大の楽器メーカー。 ウクレレ、アコースティックギター、エレクトリックギター、バイオリンなど、さまざまな種類の弦楽器を製作。
・長年の間に、ダンエレクトロ、ナショナル・ギター、ハーモニー、ケイ、テスコなど、様々な製造業者のギターにシルバートーンというブランドは付けられてきた。
・1916年、Sears & Roebuck社などがウクレレ市場を追い払うためにThe Harmony Companyを購入。
・ハーモニー社はカタログ販売でアメリカを席巻したシアーズ・ロバック社にOEM供給していた。
ひとつひとつの情報の信憑性を問いだすとキリがありませんが、整合性がとれるように情報をまとめると
- Bobkatを販売していた会社がSears & Roebuck社
- Sears & Roebuck社が扱っていたブランドがSilvertone
- Bobkatを製造していた会社は多岐に渡り、OEM供給のような形式で商品を用意していた。
というのが実情に近そうです。
製造会社名=ブランド名といった思い込みがあると理解に苦しむ構図だったわけです。
OEM供給だったことや、会社の買収なども絡んで、ヘッドロゴの表記が違うのは興味深いですね。
シアーズ・ロバック社とは
1886年、ミネソタ州で駅員をしていたユダヤ系のリチャード・ウォーレン・シアーズが、売れ残りの腕時計を買い取り、通信販売で安く販売する商売をスタート。時計商アルヴァ・C・ローバックが事業に加わり設立された会社。
交通手段は主に鉄道や馬・馬車、消費者は手間をかけて都市まで行くか、個人商店、行商人から高い値段で商品を購入するしかなかった時代
カタログを郵送して、一括仕入れで安価に商品を提供するダイレクトマーケティングを推し進めた。
1908年から1940年の間に組立式住宅「シアーズ・モダン・ホーム」を販売。
1908年から1912年自社ブランドの自動車もカタログ販売。
自動車本体の販売撤退後もパーツやアクセサリーの販売はもちろん、メンテナンス・サービス業務も行っていた。
1925年以降、人口の都市への流入とモータリゼーションの到来を予見して、都市の郊外に広い駐車場を備えたデパートを開店。
第二次世界大戦以降はショッピングセンターの中心店舗として全米の都市に出店。
以下略
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ギターの出品文などで、シアーズ・ロバック社がカタログ通販会社と書かれていたり、デパート業と書かれていたり、書かれている内容がバラバラなのは手広くやっていた会社だからです。
ちなみに初めて手にしたギター類がSilvertoneだったという著名なミュージシャンは多く
ハンク・ウィリアムズ、チェット・アトキンス、ボブ・ディラン、トム・フォガティ、ジェリー・ガルシア、、ジョン・フォガティ、マーク・ノップラー、ルディ・サーゾ、フィル・ケギー、ジェイムズ・ヘットフィールド、デイヴ・グロール、ジャック・ホワイトなどの名前が挙げられています。
ジャンルもバラバラなミュージシャンのファーストギターになっているのは、Sears & Roebuck(Silvertone)が世の中に多くギターを普及させていたのがわかるエピソードです。
モデルに歴史あり、メーカーに歴史あり。を感じさせられました。
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