Gibson ES-345TDC
1955年のシーンで時代考証に合わないギターが何故採用されたのか。
1968年製のGibson ES-345が入荷しました!
ペグは交換されていますが電装系はオリジナルです。
実は70年代の個体も入荷していたのですが、入れ違いで売れていきました。
最近何かと縁がある、ES-345をご紹介したいと思います。
ES-335の上位機種
ES-345は、セミアコの名器ES-335の上位機種として1959年に発売されたモデルです。
ボディバインディングが多層のもの、インレイはダブル・パラレログラム・インレイ、
パーツ類をゴールドで統一、上位機種らしいゴージャスなルックスのセミアコです。
フレディ・キングが愛用していたモデルとしても有名です。
コンデンサー等を使用した可変抵抗スイッチのバリトーンスイッチが搭載されています。
6段階にローカット具合を切り替えられるモデルです。
ステレオジャック仕様 – フロントとリアそれぞれをアンプ2台で鳴らすことができます。
ちなみに、モノラルジャックに改造される方もおられますが、ジャックだけ替えると、ミックスポジションがフェイズアウトしてしまうのでピックアップの配線も替える必要があります。
映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985年)で登場したギター
1955年にタイムスリップした主人公のマーティ・マクフライが、指を負傷したマーヴィン・ベリーというギタリストの代理としてダンスパーティのバンドでギターを演奏するシーンがあります。
そこで使われていたのがこのES-345です。
チャック・ベリーの「ジョニー・B.グッド」(Johnny B. Goode)がアンコールのシーンで演奏されたのも有名ですね!
このあたりの話がNorman’s Rare Guitarsのノーマン・ハリス氏の自伝本に書いてあるのですが、当初はGibson ES-5 Switch Masterを使う予定だったようです。
しかし、美術監督が「ワミー・バーかトレモロアームがついた赤いギターを使いたい」と言い出したので、その際に再びギターがリストアップされました。
リストアップされたギターは、Gretsch 6120、グレッチ レッドジェットシリーズのギター、そしてビグスビーが付けられた60年代初頭のGibson ES-345 TDC
美術監督が選択したのがGibson ES-345 TDCだったということで「1955の時代考証には合わないギター」が映画で登場することになったようです。
映画では1955年の設定なのに史実は
1958年、チャック・ベリーが「ジョニーBグッド」を発表、
1959年、ES-345 発売
ちなみに「ジョニーBグッド」のほうに関してはタイム・パラドックスという形で映画の中で表現されています。
マーヴィンはチャック・ベリーの従兄弟という設定、主人公の演奏中にチャックに電話をかけ、受話器越しに演奏を聴かせています。
(未来からやってきたマーティの演奏を聴いてこの曲を着想した。)
他にも
長くなりましたが、このようにエピソードを持ったギターは世の中にたくさんあります。
「弾く」以外の楽しみもぜひ見つけてください。
また、「このモデルも紹介してほしい」というのと簡単なエピソードがあれば、コメントいただければ調査して記事にしたいと思います。
それでは。
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