ここ最近では、海外の方からも問い合わせをいただくようになり、エフェクターなどの機材はもちろん、ギター・ベースといった竿物も販売させていただくことが増えてきました。
海外へ発送となる場合、一番問題となっていたのが「ローズウッド」について。2017年にワシントン条約(CITES)にて、ローズウッド全般に輸出入の規制がかかって以来輸出の申請が必要になったので、発送のハードルがかなり高くなってしまいました。(製造年や材の証明などが必ず必要で、中古楽器を専門で取り扱っている当店の性質上、書類や証明書を用意することが非常に困難でした。)
その為、お問い合わせをいただいた時点で「この商品にはローズウッドが使われているので発送できないんです…ごめんなさい…」とお返事させていただくことが非常に多くなってしまいました。(「大丈夫だよ!いけるよ!」「いや、でも条約で決まってるので…」「なんでだよ!大丈夫だよ!」みたいなやり取りも本当に多かった…)
なんとかしたいなーと日々悩んでいたところ、嬉しいニュースが2019年8月に飛び込んできました。ローズウッドの輸出入が解禁されることが決まったんです。そして日本では11月26日から正式に解禁となります。楽器に関わる全ての人が待ち望んだ瞬間ですよね。これはただただ解禁されたわけではなく、楽器業界の方達が奮闘してくれた成果でもあるんです。
※特にアコギは指板だけでなく、ボディやブリッジにも使われていることが多いので、中々発送ができませんでした…。
【なぜ規制を解除できたのか?】
そもそもワシントン条約(CITES)とは、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」になります。希少性に応じて、附属書I~IIIのレベルに分けられ、規制を強化することで、動植物を保護する目的があるんです。ローズウッド材は、2017年から附属書IIに入ることになりました。附属書Iほど厳しい処置ではないのですが、上で挙げたように輸出入にはかなり苦労がかかったり、できないことも多くなっていきました。※ローズウッドの中でも、ハカランダ(ブラジリアン・ローズウッド)は、絶滅の危機に瀕しているという事で、1992年から一番ランクの高い附属書Iに掲載されており、こちらは今まで通り規制の対象となります。
この決定には業界から猛反発がありました。メーカーだけでなく、プレイヤーからも残念という声が非常に多かったです。しかしもう決定してしまったことはしょうがない…、ではなかったんです。
実はCITESでは2~3年ごとに締約国で会議することが決まっていて、その際に提案した議案が賛成されれば、条約が変更になることも。その為、次回開催での規制緩和を達成するべく、関係者の方々が着々と準備がされていました。
今回ポイントとなったのは、「既に完成された物(楽器)の輸出入を制限して、ローズウッド自体の生産量に影響はあるのか?」というところでした。実際に掲載されてから約3年間のデータにおいて、ほとんど影響はなかったようで、その結果、「附属書IIに掲載のまま楽器(部品を含む)等の規制対象からの除外」されることが決まりました。簡単に言うと、「ローズウッド自体は今まで通り規制するけど、楽器になってたら特に申請なしで輸出入していいよ」となったんです。
世界で大々的に決定したことを覆すなんて、本当にすごいことですよね。関係者の方々の努力にただただ感謝です。
今までお断りしていたお客様、申し訳ありませんでした。これからはいつでも発送OKですよ!
【これからもローズウッドは大切に…】
メイプル指板と並んで、2大巨頭として君臨していたローズウッド。楽器には欠かせない物でしたが、前回の規制で業界全体が慌てふためくことになりました。今回無事解禁となりましたが、次回の会議までに問題があれば、また制限がかかってしまうかもしれません。そんな悲劇を再び起こさないように、これからもより一層大事に扱っていきましょう。
もう規制されませんように…。
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