歪み系のエフェクターを選ぶ際、プリアンプと呼ばれるエフェクターも目に付くことが多いかと思います。
ベーシストにとっては馴染み深いエフェクターですね。
そのプリアンプですが、歪みエフェクターと何が異なるのでしょうか。
3バンドEQや複数のチャンネルが搭載されていたらプリアンプ?
逆に搭載されていなかったら歪み?
その定義を曖昧に感じている方は少なくないのではないでしょうか。
今回は歪みエフェクターとプリアンプの違いをご紹介いたします!
使用目的が違います
まず前提として、歪みエフェクターとプリアンプエフェクターの起源は、どちらもアンプの機能や回路を基に設計されて生まれたエフェクターです。
アンプの大雑把な基本構造は、音色を作り出すためのプリアンプ回路、音量を増幅させるパワーアンプ回路とに分かれます。
そのプリアンプ回路をペダルサイズに抜き出したのがプリアンプエフェクターです。
サイズにより持ち運びが困難であったり、高額であるなどの理由でマイアンプを持てないプレイヤーは少なくありません。
しかし、パワーアンプなどを除いたプリアンプ部のみでしたら、小型な筐体に集約することができ、価格帯も安く収まります。真空管を搭載していない擬似的な回路のプリアンプでしたら尚更です。
小型でもアンプのリターン端子に接続すれば、クオリティの良し悪しはあれども、マイアンプを所持しているのと同等のサウンドメイクが可能であるため、小型で低価格なプリアンプがマイアンプの代替品として開発されたのです。
アンプに近い機能を持ったエフェクターですので、イコライザーが搭載されているものがほとんどで、複数のチャンネル、多彩な環境での使用に対応できる豊富な入出力端子などを搭載したモデルが多く発売されております。
レコーディングの際なども、直接ミキサーに入力接続して録音ができるプリアンプも多いため、大掛かりな荷物が必要なく便利ですね。
それに対し、歪みエフェクターはプリアンプ回路内の歪み機能を擬似的に再現し、開発されたエフェクターです。
実機アンプのクリーンやクランチのサウンドは使用したいが、オーバードライブやディストーションは使用アンプとは別のものを使用したい。
または、同時に複数の歪みを使用したいプレイヤーなどに向けて生み出されたのです。
まとめると、アンプの代替品として使用するのがプリアンプエフェクター。
アンプに内蔵されているものとは別の歪みが必要な際に使用するのが歪みエフェクターという棲み分けになるのです。
内部回路や実際の音が違います
昨今では、3バンドEQが搭載された歪みエフェクターや、アンプのサウンドに近い歪みエフェクターも少なくありません。
では、そういったエフェクターはプリアンプとして使用はできないのか。
一概には言えませんが、基本的な答えは「ノー」になります。
プリアンプは実機アンプの回路を模倣したプリアンプ回路が搭載されており、直接アンプのリターン端子やミキサーと接続することが想定された回路構成になっております。そのため、「アンプらしい」立体感のあるサウンドを出力することができるのです。
しかし、オーバードライブをアンプのリターン端子やミキサーと接続してもそうはいきません。
歪みエフェクターには基本的にはプリアンプ回路が搭載されておらず、実機アンプやプリアンプとの併用を想定して設計されております。そのため、上記のような使用方法ではどこにもプリアンプ回路が搭載されておらず、サウンドの立体感や奥行きのない、「完成されていないサウンド」が出力される場合が多いでしょう。
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歪みエフェクターとプリアンプの違い、ご理解いただけたでしょうか。
現代は超小型のプリアンプや、真空管が搭載された歪みエフェクターなど、様々なモデルが存在しますので、なかなか一概には言い切れない実情がございます。
しかし、基本的な情報として今回の記事を覚えていただければ、今後のエフェクター選びに役立つかと存じます。