レプリカとリイシュー 

日本が誇る技術の中で、今やオリジナルさえをも脅かす存在となっているものがあるのをご存知でしょうか。

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それは、デニム生地・縫製糸でございます。

およそ30年ほど前からでしょうか、プレミア価値が付いて到底オリジナルが手に入らないモデルや既に生産が終了してしまっているモデルを徹底的に研究して現代に蘇らせるというコンセプトで日本で盛んに作られ始めたのが、「レプリカデニム」と呼ばれるものでございます。

こだわりにこだわり、よりオリジナルに近づくよう商品開発をおこなっていく中で、「生地・縫製糸」まで制作していきました。

その試行錯誤の結果、今となっては、オリジナルを作っていたメーカーから生地や糸を売ってくれと言われるまでになっております。

リスペクトが高じて、本家から認められる。
こんなサクセスストーリー中々あるもんではないですよね。

そんなすごい所まで来ていて、個人的にもJAPAN MADEが評価されていると誇らしく思っていたのですが・・・有名なレプリカジーンズの社長さんが興味深いことを発言しておりました。

「どれだけ質が高くて、よく出来ていても、レプリカはレプリカ。オリジナルは超えられない。レプリカは別の商品。」

という旨の発言をされている記事を目にして、衝撃を受けました。

私はただのファンの立場ですから、外から見ているだけで、取り巻く環境が分かるわけではないのですが、ジーンズの本場アメリカで評価を受けているような方が仰られていることに驚きました。

その道の職人さんにしかわからない事で、素人の私には分から無いことなのでしょうが・・・。

確かに、楽器に携わっている人でしか肌で感じられない事というのもあるしなぁ~と。
そんな事を思いながら、楽器にも「レプリカ」というのがあるなとぼんやりと考えていた所、もう一つ似た表現がある事を思い出しました。

それは「リイシュー」。

どちらも、オリジナルではなく、今の時代に皆が憧れる古き良きアイテムを復活させるという意味合いでは非常に似ているのですが、調べたことがなかったなと思い立ちまして違いを調べてみました。

まず、言葉の意味から。

5-_MG_9649
・レプリカ:複製

4-_MG_9647
・リイシュー:再発売

一目瞭然ですね。

レプリカは、複製という意味。リイシューは再発売。

日本語で見ますと、似て非なるものでありながら、場合によっては同じ意味でも用いれそうなのがまたややこしい所でございます。

ジーンズの世界でも同じかと思いますが、まず根底にあるのはその商品が「どこの(誰の)持ち物なのか」という点。

ジーンズという言葉だけだと、デニム生地で作られた商品なのですが、「501」と表現しますと、Levisの商品となるのです。このあたりが、今回のお話の肝となってきます。

エレキギターといえば、6本の弦が張られており、アンプに繋いで音を出す楽器なのですが、「ストラトキャスター」といえばFender社の商品ですよね。

ここに、先の言葉の意味を合わせていきますと・・・

レプリカ:Fender社以外が1950年代のストラトキャスターを再現する事を目標として製作したもの

リイシュー:Fender社が一度生産終了した仕様のモデルを再生産・再発売すること

となるのでございます。
上記2点のような状況となりますと、それはもう話がだいぶ変わってきますよね?

こういう風に、切り取って詳しくそれぞれを見ていくと、先にとりあげた有名なレプリカジーンズの社長さんのお言葉もスッと理解が出来るような気がしてきます。

どれだけ精度を高めても、本家ではない。しかしながら、ジーンズとしては別品番やけど自信はあるよ!
とはいえ、あの時代のオリジナル(1920年代とか1940年代)には敵わないよなぁ・・・という意味合いなのかなと思います。職人魂と向上心の現れなんでしょうね。

確かに別物なんですが、【古き良き時代のものを現代に蘇らせたい!】という熱い部分はどちらも同じ所から始まっているのではないかと思います。
作り手の想いを受け止め、「レプリカ/リイシュー」という言葉は間違わずに使っていきたいなと思います!

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