時代とともに移り変わる使い方 

最近寒くなってまいりましたのでアウターが必需品となって参りました。
子供のころは寒い日など、ポケットに手を入れて歩いては親に

「ポケットに手をいれてて、こけたりしたら大変やで!」

などと怒られたものでした。

さて、このポケットですが、2種類あるのをご存知でしょうか。
昨今はデザインが多様化した時代ですので、すべてを分類するというのは難しいわけですが・・・大雑把には2種類に分けられるのです。

それは
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「入口が上を向いているタイプ」

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「横を向いているタイプ」
でございます。
今となっては、防寒の意味合いとファッションの意味合いが半分半分の日本においては中々ピンと来ない話だと思うのですが、本来のアウターというのは「防寒」が目的な訳でございます。

ですので、アウターにつけられているポケットにも役割があるのでございます。

入口が上を向いているタイプは、みなさんがご想像の通り、スマフォなどのちょっとした小物を入れられるようにというスペースな訳ですが、横向きの物は実は当初違った目的のもとにデザインされておりました。

ダウンなどのアウトドア系のアウターには、上向きの物と横向きのものが両方つけられたりする事が多い、というのもヒントになります。
名前はもうそのまんまで、ズバリ「ハンドウォーマー」。
要するに、手を寒さから守るために入れる場所ですよという意味な訳です。
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だから、怒られていましたが(笑)寒い時に手を突っ込んで歩いているのは正解なのですよね。
(まぁ、日本の神戸のような所で手が凍傷を起こすほどひどい寒さになるかと言われるとそんなことはないので、屁理屈になってしまうのですが(笑))

今は横向きのものでも、中身が深くなっていたり、ジッパーがついていたり、ボタンがついていたりして全てがその通りではないのですが、横向きのポケットに物を入れているとよく落としませんか?
あれは、「もともと物を入れるようにデザインされていない」からなのです。

そもそも、ハンドウォーマーは雪山などに登る人や鉱山などで働く人といった過酷な状況化で過ごす人向けに考えられたデザインなのです。
しかし、ファッションの多様化により普通の人が街中でもそういった服をファッションの一環として着るようになった。
そして、本来の目的と違った使い方をしていながらもその時代時代にマッチし、そういう使い方がメジャーとなっていった事例でございます。

上記のような具合に本来は違う目的でつけられていたけれども、時代の流れとともに使い方のトレンドが移り変わっていったものというのが楽器にもございます。

例えば、ギターアンプのINPUT。
ベースアンプなどで近年に作られたものを例にとるとわかりやすいでしょうか。
よく「Active」/「Passive」と分けられているものがありますよね。
Activeは「プリアンプを搭載しているActiveタイプのベースはこちらに」、Passiveは「Passiveタイプのベースはこちらに」という表示でございます。

これと同じような機能がヴィンテージアンプにも搭載されております。
Fender系のアンプにはINPUT「1/2」と2つございまして、こちらのことでございます。
これは「1→HIGH」「2→LOW」入力用ですよという風に分けられております。
(わかりやすく「HIGH/LOW」という表記ではないのがややこしくしている感がありますが・・・)
1.HIGHは信号を減衰させないINPUT、2.LOWは信号を減衰させるINPUTでございます。
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今でこそ、
「そうかそうか、このギターはActiveだから1だな。あのギターはPassiveだから2だな」
となるかと思うのですがActiveの楽器が出現したのはヴィンテージと呼ばれるアンプが製造されていた時代から見ると随分と後です。

「あれ?じゃあそもそも何のためにINPUT分けられてたの?」
という話ですよね。

理屈は今も昔も同じギターの入力信号の大きさの違いの為に分けられているのですが、やや毛色が違います。

まさに時代を感じさせる所ですが、本来は「シングルピックアップなのかハムバッカーなのか」ということに焦点を絞って作られた仕様なのでございます。

入力が大きくなりますと、音が歪んでいわゆるオーバードライブサウンドになります。
しかし、クリーンで音量を大きくしたいと思っているのに、歪んでしまうと困りますよね。
それを防ぐために入力が大きいもの用と小さいもの用に分けて入力端子を設けているのです。

ここでいう入力が大きいものというのは「ハムバッカー」、主にGibson系のギターを指します。
ハムバッカーでもクリーンサウンドが出せるように信号電圧をカットする機能が搭載されているので歪まずに使えるというものです。
当時は恐らく、FenderとGibsonがエレキギターの大多数であり今のように様々な種類が無かった為に2極化の仕様を打ち出したのだと思われます。

当時と現代とでは機材の種類も違いますのでおのずと使い方が変わってくる訳ですが、不思議と使い方が時代時代にマッチして発明当初とは違う目的でも便利に使えるというのは名器といわれ後世に残っていく機材の特徴なのかもしれません。

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