同じナイロン弦を張るクラシックギターとフラメンコギター。
形が似ており、あまり変わらないようにも見えますが
いざ弾き比べてみるとあまりの音の違いに感動すら覚えるほどです。
今回はその音を特徴づける作りの違いを見ていきたいと思います。
クラシックギター (写真①)

サイドバックにロースウッドやハカランダなど、重く硬い材を用います。
(材の色は赤褐色~暗褐色:写真②)

ボディの厚さはフラメンコより少し厚く(写真③)

反響のための大きな容積を確保しています。
全体的な重量としてはおよそ1.4~2.0kg台で作られます。
また強いタッチの演奏でも音がビビったり詰まったりすることがないように
弦高はやや高めにセットされます。これらの性質により
・深くクリアな音色と長い余韻
・コンサートホールでの音の遠達性
といった特長を持ちます。
フラメンコギター(写真④)

サイドバックにシープレスなどの軽く
比較的柔らかさのある木材を用います。

(一般的に材の色は黄褐色~白色:写真⑤・・・ですが
サイドバックにローズウッドなどを用いたコンサート用フラメンコ
なるものもあり、シープレスが用いられたものは『白』
ローズウッドなどが用いられたものは『黒』と呼ばれるそうです)

ボディの厚さはやや薄く(写真⑥)反響のための容積は少なくなります。
クラシックより板自体が薄いこともあり
全体的な重量は1.2~1.5kg台とかなり軽量です。
弦高は低くセットされ、強いタッチで弾いたときに
ややビリつくこともありますが
それがフラメンコギターの音を印象的なものとしています。
他にはボディを叩く、ひっかくなどの激しい奏法から表面版を保護するため
(また叩いたり、ひっかいたりした際の響きをよくするため)
ゴルペ板と呼ばれる、いわば極薄のピックガードのようなものを
ボディに接着します。これらの性質により
・立ち上がりが鋭く、余韻が整理された歯切れのよい明るい音色
・低い弦高による高い演奏性
・クラシックギターにはない土臭さ
といった特長を持ちます。
サイドバックにはローズウッドなどの重く硬い木材を用いることが
今や当たり前ですが、19世紀に作られたギターは
現代のクラシックギターよりかなり小ぶりで
サイドバックには楓や米樅、糸杉、胡桃材など
さまざまな材が用いられていました。
時代が降り独奏の際の大音量化が求められ
ボディが大型になり、サイドバックに重く硬い
ローズウッドを用いるのが一般的になり、
現代のクラシックギターの形が出来上がっていきました。
クラシックギターがコンサートでの演奏に特化して19世紀、
20世紀に急速に進化したものであるのに対し
フラメンコギターは(もちろん進化しているものの)
古いギター面影を強く残したものである、と言えるかもしれません。




コメント
フラメンコギターでクラシックを弾いてもいいでしょうか
どう考えても操作性も音質もその方がいいと思えるのです
画一的になった現代のギターでなく19世紀以前の様な様々な材の様々なスタイルのギターが普及してほしいと願います
コメントありがとうございます。
音楽的な趣向の自由を縛るものはないですが、時と場合、演奏する場や置かれた立場によっては制約があるかもしれません。
コンサートホールでの音の遠達性、必要な音量が得られるかどうか、という必要に迫られて発展を遂げたのがクラシックギターという背景を鑑みると、コンサートホールで演奏する機会があり演奏に対して金銭が発生している場合などは周囲の理解を得る必要があるのではないでしょうか。
演奏家の判断と、聴衆の判断の基準は違っており、聴取は聞き馴染みのある特徴の音色を良い音と判断する可能性があるという視点も有益かもしれません。