歪みを愛するプレイヤーにとって一度はファズの沼にハマるのではないでしょうか。そこで避けて通れないのが”ゲルマニウムファズ”の存在です。
ジミヘンが愛用した初期のファズフェイスはゲルマニウムトランジスタが使われており、そのサウンドを求めて今もなお数多のコピーモデルが制作されていますが、このゲルマニウムトランジスタには1つ難点が。それは「温度によって音に影響が出る」ことです。それではなぜそのような特性になっているのでしょうか?
【ゲルマニウムのはじまり】
ゲルマニウムとは亜金属と呼ばれる半導体元素のことで、1885年にドイツのウインクラー博士が発見し、ドイツの旧名であるゲルマニアにちなんでゲルマニウムと命名されたそうです。
半導体は条件によって電気を通したり通さなかったりする性質の物を指しますが、ゲルマニウムも同様で、低温では電気を通しませんが、温まった時に電気を通す特性があります。その結果、使用時の温度によってサウンドにも影響が出てしまうんです。
【なぜゲルマニウムを使うのか?】
上述したように不安定な要素があるにも関わらず、今もなお、多くのプレイヤーからゲルマニウムファズは求められています。実はその理由もこのゲルマニウムの性質が関係しています。
ゲルマニウムは温度によって繊細に反応してくれる分、音の粒立ちやザラつきが粗くなる傾向があります。安定したファズを求めて、後にシリコントランジスタを採用したファズが誕生しますが、こちらは出音が安定している分、歪みも落ち着いたニュアンスになりました。シリコンではゲルマニウムならではのブチブチと唸る出音を作るのが難しいのです。この粗さがファズの原点であり、その粗さを生み出せるのがこのゲルマニウムというわけです。
またボリュームやタッチに対する反応も繊細で、手元だけで多彩に表現を変えられるので、ギターを弾き倒した猛者達に好まれているのもポイントです。
【ファズの原点】
ヴィンテージのギターが今も愛されているように、原点となるサウンドは脈々と続いていくものなんだなと思います。ゲルマニウムファズは良く鳴らすも悪く鳴らすもプレイヤー次第な部分もあるので、ギタリストのチャレンジャー精神を上手くくすぐってきたのかもしれないですね。個人的にもファズを使いこなしている人は尊敬します。
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