アコースティック楽器のサドルについて 

いつも記事を御覧いただきありがとうございます。

今回はよくお問い合わせいただくアコースティック楽器の弦高についてです。

エレキギターやベースのブリッジにはコマが付いており、 簡単に調整ができるようになっておりますが、
アコースティック楽器のサドル調整は実は非常に面倒です。

今回は地味ですが、アコースティック楽器のサドルについて解説します。

それでは早速いってみましょう。

アコースティック楽器のサドルの作りについて

基本的にアコギやクラギなどは木製のブリッジに溝が掘ってあり、
その溝に牛骨やプラスチックなどのサドルがはめ込んであります。

Gibsonなど、一部ネジでサドルの上げ下げができるタイプもありますが、
基本的には乗っかっているだけの状態です。

結論を先に申し上げますと、弦高を下げたいとなればサドルを削る、
弦高を上げたい場合はサドルを作り直すかシムなどを挟むといった調整になります。

シムを挟む場合はサドルの下に入れるだけですので簡単ですが、
サドルを削る、サドルを作り直す場合は中々大変です。

さらに詳しく解説していきます。

 

サドルを削る際の注意点

サドルは基本的にブリッジの溝の底面に対してピタッと当たっている状態が望ましいです。

隙間が空いているとその部分の振動がうまく伝わらず、
楽器の鳴りにも影響してきます。

ですので、削った面が斜めになったり、ガタガタになったりしないように行います。

入荷した楽器のサドルを外した時に、たまにガタガタに削られたものもありますが、
まっすぐぴったりに削り直すと音がしっかりすることがよくあります。

手先が器用な方は紙やすりなどで整形できると思いますが、
デリケートな部分ですので注意が必要です。

また、削りすぎると無駄なシムを入れないといけなくなるので、
一気に削るよりも少し削って確認しながらのほうが無難です。

繊細な作業ですので、できればプロの方に任せましょう。

サドルを作り直す場合

基本的に、素人の方が自分でサドルを削って作るのは難しいです。

形だけとりあえず整形して付けるだけならなんとかなりますが、
プロが作ったものと比べると精度では全くおよびません。

ブリッジやナットといった部分は弦が乗る重要な部分となりますので、
プロにお任せするのが一番と感じています。
(リペアショップの回し者ではございませんが、やはりプロはすごいです)

とはいえ、ご自身の楽器を自分で調整するのが楽しい、
それにより愛着がわくというのもありますので、
挑戦してみるのはありだと思います。

調整の腕を磨く場合、楽器製作の学校に通えば早いですが、
最近でしたらYoutubeなどで学んだりもできると思います。

やってみてこれはダメだな…と感じたら、
状態がおかしくなる前にすぐリペアショップにかけこみましょう。

サドルによる弦高調整の落とし穴

このように、演奏者が一番弾きやすい弦高に調整しますが、
これで完成ではありません。

問題は経年変化です。

一度完璧にセットアップしたものでも、時が経つにつれズレが出てきます。

エレキギターと違いアコースティックギターなどのボディトップは薄い板ですので、
弦に引っ張られてトップが膨らんだり、弦のゲージを下げるなどした場合に凹んだりと、
油断はできません。

ネックの反りによって弦高が変わった場合は反り調整で直りますが、
トップの膨らみや凹みは直せません。

湿度管理や弦の緩め具合など、常に管理が必要となります。

これを聞くと、なんと面倒な楽器なんだと思われるかもしれませんが、
あんな薄い板で作られた楽器が強度的に強いわけがないのです。

ペットを飼っている方が当たり前にお世話をするように、
アコースティック楽器を演奏する方も日々お世話をしていただきたく存じます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

アコギなどお使いの方で弦高調整を考えていらっしゃる方向けの記事でした。

当店では基本的にアコースティック楽器のサドル調整はお受けしておりませんが、
入荷した楽器は適正な値に合わせるためにしっかりと調整してから販売しております。

アコギやクラギは弦高で音が変わりますが、
サドルの精度によっても音が変わってきます。

もしご自身で楽器をセットアップする場合は、
精度にこだわってしっかりと行ってくださいね。

また、日々の温度や湿度の管理もお願いします。

今回の記事はここまでとなっております。

私のアコースティック楽器の記事は次回、または次次回で終了となります。

最終回までどうぞよろしくお願いいたします。

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