フルートの唄口には、「リッププレート」と呼ばれる板が設置されています。
同じ横笛の龍笛、篠笛、アイリッシュ・フルート、ピッコロなどを見ると、この「リッププレート」は付いていません。
では、なぜフルートだけに設置されているのでしょうか?
今回はリッププレートが付けられた理由とそれに関わるフルートの歴史をご紹介いたします。
今日のフルートができるまで
現在は金属で作られることが多いフルートですが、以前は木で作られていました。
元々は大変シンプルなつくりで繊細な表現から人気を博していましたが、指で塞げる大きさのトーンホール(音孔)により、音量や音色に欠点があるとも言われ、その改善のため様々な試みがなされていました。
1847年、テオバルト・ベームは金属製のフルートを発表しました。
管体の形状やメカニズムなど、画期的な改良が施され、現在のフルートもほとんど同じ構造で作られています。
彼が材質を木から金属へ変えた理由は定かではありませんが、
より大きな音量のために指で塞げないほどのトーンホールが必要=各トーンホールにキイを付ける必要があったため、木では加工が難しかったのではないかと思われます。
フルートの発音原理
リッププレートが設置されている理由をご紹介する前に、フルートの発音原理について記しておきます。
フルートは「エアリード」と呼ばれる発音原理で、リコーダーと同じしくみで音が鳴っています。
吹き込んだ息が壁にぶつかり、楽器の外へ出る息と中に入る息の2つに分かれます。
この分かれた息が渦を作り、空気を振動させることで音になります。
フルート上達のためには、息が分かれて綺麗に音になる箇所にピンポイントで息を当てられるようになることが大変重要です。
リッププレートはなぜ付けられた?
木製フルートの管は4.0mm程である一方、金属で作られたフルートは0.3~0.5mmと1/10程の厚さです。
リッププレートは、フルートを木製から金属製にすることで薄くなった管の厚みを部分的に補うために付けられました。
これにより、木製フルートを吹いてきた人も違和感なく持ち替えられたと言われています。
1847年にベームが発表した金属製フルートにもこのリッププレートは付けられており、リッププレートのみ木で作られたものもあります。
おわりに
様々な欠点も克服した上で、発音に関わる大切な部分の空気の流れも計算されたベーム式フルート。
リッププレートの役割をまとめる中で、今から170年以上前に素晴らしい発明をしたベームさんの偉大さを改めて感じました。
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