バリバリとした低音も伸びやかな高音も魅力的で、クラシックからジャズやポップスなど幅広く活躍するトロンボーン。
自分だけの楽器が欲しいけどどうやって選べば…とお困りの方もいるかと思います。
ベル材質・仕上げ・製法についてお伝えした前回に引き続き、今回は、トロンボーンの構造にスポットを当てて選び方をご紹介していきます!
ボアサイズ
ボアサイズとは管の内側の太さのことを言い、トロンボーンは一般にスライドの内径を指します。
「細管」「中細管」「太管」の3種類が基本です。
同じ名前でもメーカーごとに厳密な数値は異なりますが、洋服のS・M・Lのような感じだと思っていただけるとよいかもしれません。
この太さが異なると、必要な息の量が異なるため、音色や抵抗感に影響します。
※下記の内径の数値はメーカーの公表値を参照したもので、すべてのメーカー・モデルは網羅しておりませんので、ご了承ください。
・細管 12.32~12.93mm
・中細管 13.34mm
内径が小さく、必要な息が少ないため、初心者の方には吹きやすくおすすめです。
その反面、息をたくさん入れられるようになるとコントロールが難しく感じられることもございます。
オープンな吹奏感、明るい音色が好まれるジャズやビッグバンド、ポップスでよく用いられます。
・太管 13.89~14.28mm
大きな内径で、演奏には比較的たくさんの息が必要です。
オーケストラのような、しっとりと華やかで豊かな音色が求められる場面で好まれます。高校の吹奏楽部でもよく用いられています。
・デュアルボア 12.70/13.34mm(YAMAHA)12.57/12.93mm(Bach)13.89/14.27mm(C.G.Conn)
ヤマハ、バック、コーンなどの楽器に一部採用されています。本来一定の太さであるスライドの内管のサイズが上下で異なり、スライドの上管(マウスピース側)に比べて下管(ベル側)が太くなっています。ベルに向かってだんだん太くなる構造によって、息の流れをスムーズにしています。
どれを選ぼう…と迷われた場合は、
- どういうジャンルの曲を演奏したいか?
- どんな音色が好みか?
を一度イメージした上で、お試しいただくのがと良いと思います。
F管の形
テナーバストロンボーンやバストロンボーンなどには、「F迂回管」と呼ばれる管がついており、手元のレバーで空気の通り道を切り替えてテナートロンボーンよりも低い音程の演奏をも可能にしています。
このF迂回管の形は音質、吹奏感に影響を及ぼします。
・トラディショナル(画像下)
主管抜差管からはみ出ない曲がりくねったレイアウトです。
複雑な形を支えるため、支柱もたくさん必要です。
そのため、抵抗感は比較的強く、細かな動きはやや演奏しにくいですが、根強い人気があります。
・オープンラップ(画像上)
ストレート部分が長く、トラディショナルラップに比べてF管自体は少し短く設計されています。
抵抗感が少なく、オープンな吹奏感と比較的明るい音色が特長です。
女性や小柄な方に人気があります。
後ろに長いため、ぶつけてしまわないか心配…という側面も。
ここでは多く作られている2タイプの迂回管の巻き方をご紹介しましたが、他にドイツのK&H(キューンルアンドホイヤー)が製造しているエイトラップと呼ばれる8の字のような巻き方があったりと、各社工夫を凝らしています。
吹奏感に大きく影響する部分ですので、どちらもお試しください!
バルブの形
上述のF迂回管の形以外にも、F管に切り替える装置の形でも吹奏は左右されます。
ストロークが異なるため、音の切替の速さに影響が出るほか、F管を使わないときと比べてどのくらい急にカーブするのかによって、抵抗感の強さなどに影響が出てきます。
現在当店で撮影できたはこの3点のみですが、
- グリーンホー(GREENHOE)
- アキシャルフローバルブ(Thayer)
- Kバルブ(Bach)
などなど…本当に多くの種類があるバルブは、F管同様、各社が力を入れて開発を重ねているパーツです。
さいごに
管楽器は初めてだけど、実は肺活量があってそれなりに抵抗感のある楽器が合う…といったパターンもあり、管楽器の経験の有無だけでは一概に1本に決めきれないのが楽器選びの難しいところです。
これまで楽器選びのヒントを色々と書き連ねてまいりましたが、イメージが湧かなくて決められない…とお困りでしたら、お気軽にご相談ください。
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