木管楽器奏者の方は、楽器店にメンテナンスへ持っていくと「タンポ交換」という言葉をよく耳にしますよね。タンポって名前のコレは一体どういうものなのでしょう?
今回はその役割、種類をご紹介いたします。
タンポとは?
現在の木管楽器にはボタンのようなものが付いていますが、昔はリコーダーのように細長い管に穴が空いているだけのものでした。
穴をたくさん増やせば演奏できる音程は増えますが、指は10本しかありません。そこで開発されたのが、現在のような「キィシステム」という金属でできたからくりです。人間の指のように穴をぴったりと塞ぐために、金属製のキィの先端には「タンポ」や「パッド」と呼ばれるクッションがつけられています。
タンポはフェルトやコルクでできており、フェルトは濡れると機能しなくなってしまうので、動物性のかわなどで包むことで演奏したときに楽器の内側に発生する水蒸気から守っています。
タンポの種類
・コルクタンポ
1番右にあるがこちらのタンポです。オーボエのキィやクラリネットの左親指の穴の上にあるキィ、サックスのネックに取り付けられたキィに採用されております。コルクには硬さと弾力性を兼ね備えており、音の立ち上がりが良いという長所がございます。一方、下記のタンポのように撥水性はないので、水分を含みすぎると穴を塞げなくなってしまうという欠点もございます。
・革タンポ
左の2つがこちらのタイプです。サックスやバスクラリネット、ファゴットなどのキィに採用されております。羊・豚・牛・カンガルーなどの動物のレザーでフェルトを包んで作られております。写真のタンポは中央にレゾネーター(resonator:共鳴器)やブースター(booster:増幅器)と呼ばれるパーツが中央についております。左がプラスチック製、右が金属製で、これの種類によっても音色が異なります。
・ブラダー(bladder:浮き袋)タンポ・フィッシュスキンタンポ
中央と右から2番目にあるのがこちらのタンポです。クラリネットやフルートのキィに採用されております。その名の通り元々は魚の浮き袋でフェルトを包んで作られておりましたが、現在は浮き袋の代わりに羊や豚などの腸の皮が採用されております。
古いタンポ
指の代わりに音孔を塞いでくれるタンポは、弾力性と気密性が要です(リコーダーを演奏するときに小指で穴を塞ぎきれずに、ドの音が出なかった経験はありませんか?)。
そのため、古くなって固くなってしまったタンポでは音程をとれなかったり、汚れてしまったタンポは音色や吹奏感に悪影響を及ぼすので、交換する必要があります。また、タンポは柔らかいので、その楽器のオーナーの方にとっては演奏上問題ない形に変形していても、別の人がそれを吹くと吹きにくく感じてしまう…ということも起きてしまいます。
下の画像の緑色の輪は汚れです。これだけ汚れがあると音色が変わるのも納得していただけるのではないでしょうか?
おわりに
いかがでしょうか?タンポについての疑問が少しでも解消されれば幸いです!
当店で買い取らせていただいた楽器は、専門のスタッフが修理、調整をおこなった上で販売しております(一部例外あり)。お持ちの楽器にタンポ交換の必要があっても、お気軽にお問い合わせください。
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