これまで数々のエフェクターを開発してきたBOSS。今もなおラインナップされているロングセラーモデルもありますが、惜しまれつつ生産が完了しているモデルも数多くございます。中には「仕様だけ見ればけっこう便利そうなのに・・・」というモデルもあるのが不思議。
今回ご紹介するのは、先日買取させていただいた「BOSS SD-2」。かの有名なSD-1の後継機種として1993年に発売されましたが、1999年頃に生産が終了してしまいました。何が良くなかったのか?という考察に入る前に、本ペダルの機能についてご説明します。
完全に独立した2ch仕様オーバードライブ
本機はCRUNCHとLEADの2種類のモードを備えています。LEVEL、TONE、DRIVEは2軸ポットを採用しており、CRUNCHとLEAD各々で独自に設定することが可能です。「Aメロまでは軽い感じで、サビで一気に重たく!」や、「常時CRUNCHで使っておいて、ソロだけガツン抜けるLEADで!」というセッティングが、このコンパクトエフェクター1台でこなせるんです。
基本のモードは常時ONでCRUNCHとLEADを切り替える仕様。それだけでなくLEADチャンネル固定、CRUNCHチャンネル固定といったモードも備わっており、メインとしてはもちろん、アンプや他の歪エフェクターをブーストさせる用としても活用しやすくなっています。フットスイッチが繋げられるREMOTE端子が装備されており、これによって本体のペダルでON/OFF、フットスイッチでチャンネルの切替も可能です。
コンパクトペダルながら便利な機能が詰まっており、仕様だけみれば何故生産終了になったか分からない・・・。悩んでもしょうがないので、実際の使い心地に移ります。
やっぱり使える!!だけど・・・?
結論から言いますと「SD-1の後継機種」という立ち位置が良くなかったと思います。単体で見ればポイントによって使い分けしやすい歪みという印象を受けました。ただ後継機種といわれるとSD-1のサウンドを引き継いでいるイメージを受けると思いますが、個人的には別物と感じました。
●CRUNCH
ゲインの幅は非常に広いです。DRIVEを上げれば結構荒々しい芯のあるオーバードライブが作れました。コードを掻き鳴らすのが気持ちよかったです。ただDRIVEが9時を過ぎた辺りで割とキツめの歪みがかかってしまうのと、TONEの効き具合も割と硬質な印象だったので、かなり控え目な設定にしないとSD-1のようなまろやかさは難しかったです。
●LEAD
こちらはゲインの幅は狭いです。DRIVE0の状態でもガッツリ歪んでくれます。(個人的にはこれでちょうど良いくらいで)DRIVEを上げればどんどんと荒さと厚みが増し、TONEも上げればザクザク刻めるディストーションライクなサウンドを作ることもできて、こちらも単体としては非常に気持ち良く弾けました。ピッキングに対する追従性はあまり良くなかったので、一度LEADに切り替えればもうガンガン攻めるしかないという印象でした。
恐らく「クリーンよりのクランチ設定が基本で、場面によってLEADでブースト!」と考えられていた方が多かったと思いますが、モード間のバランスをとることが難しく、「LEADが激しすぎる・・・!」と見送られた方も多かったのではと感じました。
伝え方って大事
SD-1をイメージさせずに新作オーバードライブとして売り出せば、もしかすると今とは違った結果だったのでは?と思わせてくれるくらい、単体として良くできているペダルだと思います。次に発売されるMT-2などに2軸ポットといった仕様もちゃんと生かされています。
当時のニーズとは合わず、生産完了となってはしまいましたが、利便性・機能性の高さが相まって、近年また評価されてきているのは嬉しいニュースです。気になる方はぜひ一度試してみてください!
BOSSは生産完了したモデルをほぼ復刻しないので、これからどんどん高騰するかもしれませんよ・・・。
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