【『時代に埋もれた意欲作』BOSS FZ-2/HYPER FUZZの真価やいかに!】 

数多くの名機を世に生み出し続けるBOSS。最新のモデルはもちろんのこと、惜しくも生産完了となったモデル達にも、評価の高いペダルが多く、価格が高騰していることもしばしばございます。

そんなBOSSペダルの中から、今日はFZ-2を紹介したいと思います。上品な色合い・ルックスとは裏腹に、BOSS史上最も凶暴という評価も良く聞く本ペダル。その真価やいかに・・・。

ハイパーなファズ

1990年代にBOSS最初のファズとして満を持して登場。HYPER FUZZという名に恥じぬ強烈なファズトーンが特徴的です。本機はレベル以外のつまみをゼロにしていても、既にダーティーに歪んでいます。BOSSペダルにおいて推奨されている12時セッティングにするだけでも、かなり凶悪な印象を持ちました。

LEVELだけ上げてもちゃんとブーミー。さすがハイパーです。


 FUZZ1モードは低音域がブーミーで太く荒い歪み。FUZZ2モードは、中音域がごっそり抜かれて、極端なドンシャリトーンな歪みです。こちらはHR/HM的なニュアンスも感じます。ベース・トレブルのブースト/カットができるのも特徴的。効きの範囲も広いので、細かなニュアンスの違いはここで設定できます。歪みの質自体の幅は広くないので、昨今よく見かける「1台で何役もこなせる」タイプではありませんが、GAIN高めでストラトのリアでリード、レスポールのリアでパワーコードといったように、ピンポイントでハマらせると非常に心地良いです。

BOSSにしては扱いにくそう・・・と思ったそこのあなた。天下のBOSSはちゃんとシンプルなモードも搭載しています。それはGAIN BOOST。歪み成分はカットされ、他のエフェクターやアンプをブーストさせるのに適しており、TONEも使えるので、イコライジング付きブースターとして非常に使いやすいモードです。機能性としては優秀ですが、FUZZを使いたい人がこのモードもこぞって使うかというと・・・どうだったのでしょうか?

当時のトレンドには合わなかった?

良い意味で雑な荒々しさが味となるファズですが、FZ-2は荒々しさはありつつも音の粒は整頓されており、「高い技術でファズを再現している」という印象を受けました。また、今も尚絶大な人気を誇るファズの名機Fuzz Faceのような路線ではなく、国産ファズのサウンドを踏襲した結果、当時の層からあまり支持を受けられず、モデルチェンジと同時に生産完了となってしまいました。

空間系やモジュレーションエフェクトは、音の解像度やクリアさが重要視されたりしますが、元々アンプを限界まで出力させたところから生み出され、荒々しさが原点にある歪みエフェクトなので、デジタルで綺麗に制御するだけでは表現しきれない味があると感じています。逆に洗練されたハイパー感が時代を先駆けすぎたのでは、としみじみ思いました。

個人的おすすめセッティング

上でも挙げていますが、このモデルはTONEの効き幅が広いので、様々なギターと合わせられると思います。演奏スタイルやジャンル、ギターによってセッティングは千差万別だとは思いますが、全体的なトーンバランスを整える意味合いで参考にしていただければ幸いです。

FUZZ1モード時:低音域が元からブーミーなので、BASSを少しだけカット(10~11時辺り)して、TREBLEはブースト(14時~15時辺り)LEVELとGAINは12時。ブーミーさを損なわず、音の抜けも向上します。

FUZZ2モード時:音がスカスカになりすぎないように、BASSは12時前後、TREBLEは14時辺りでセット。FUZZ2の良さを堪能するならGAINは高めの方が良いと思います。14時~フルテンの間をお好みでどうぞ。

再評価されてきているFZ-2

BOSS FZ-2

当時はあまり受け入れられなかったFZ-2ですが、近年再評価されてきており、ここ最近の相場は非常に高騰しています。BOSSの中でも癖のある1台ではありますが、TONEやGAINの設定がかっちり合うと、心地良く弾き倒せます。そんな可能性を秘めたFZ-2ですので、気になっている方はぜひ一度試してみてください。

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