「音」を「言葉」で表現すること ~佐渡裕さんの絵本~ 

楽器店のスタッフは、楽器の「音」を「言葉」にして、お客様にお伝えすることが業務でもあります。

「このエフェクターってどんな音なのー?」というご質問に答えたり、通信販売のHPではその商品の音をお伝えする文章を書いたり。

ただ、この「音を言葉で表す」というのが、本当に難しい。。。

「キラキラした〇〇」「激しめの■■」と書いても、人によってその感じ方は異なりますし、難しいなぁと日々感じています。

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さて、そんな中、『はじめてのオーケストラ』という佐渡裕さん原作の絵本を読む機会があり、非常に感銘を受けたのでご紹介したいと思います。

佐渡裕さんといえば、数多くのオーケストラや吹奏楽団の指揮をされ、Qsicがあります兵庫県の「兵庫県立芸術文化センター」の芸術監督も務めておられる、大変有名な指揮者の方です。

 

こちらの『はじめてのオーケストラ』は、パパがオーケストラの指揮者という女の子「みーちゃん」が、はじめてパパが指揮をするコンサートに出かける話です。

クラシックに限らず、ホールでのコンサートの多くは「未就学児お断り」の場合が多く、小学生になったみーちゃんが待ちに待ったコンサート、というわけです。

 

この絵本のすごいところが、普通の絵本ならコンサートに行って、見て、帰って、という流れになると思うのですが、演奏曲であるベートーヴェンの「第九」が16ページに渡って、絵と文字で表現されているんです。

「絵本」なので読む対象は子供であり、子供が「第九」なんてもちろん知らないわけなのですが、みーちゃんの心の声や繊細な言葉、絵を使って、「第九」が細かく表現されており、曲を知らなくても「なんかすごいぞ!」と感じられるようになっています。

そして読み終わった後に「音楽って素敵なんだよ」「コンサートって素晴らしいんだよ」ということが、しっかりと染み込む、そんな絵本です。

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『はじめてのオーケストラ』を読んで、音楽が気になりはじめる子供がいるように、私達が言葉で伝えることで、その楽器が気になっていただけたらいいなぁ、と子供に読み聞かせながら感じていました。(職業病ですね笑)

言葉選びは素直に。
この一言に尽きる気がします。

この絵本はもちろん子供向けではありますが、クラシックコンサートへの間口を広げるとともに、期待が高まる1冊です。

機会がありましたら、ぜひ読んでみてください^^

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