音楽配信サービスへの変遷と、鍵盤・機材のこれからと。 

先日、NHKの「SWITCHインタビュー 達人達」という番組で、奥田民生氏とYouTube音楽部門総責任者のリオ・コーエン氏の対談を放送していました。

アナログレコードからストリーミング配信への音楽ビジネスの変化についての対談だったのですが、リスナーとして、そして楽器店で働く身としても、色々と考えさせられる内容で非常におもしろかったです。

私は「Theアナログ人間」で、定額配信サービスの音楽を100%信じきれていない部分があったのですが、リオ氏の話を聞くうちに、「あー、私の考えはつくづく凝り固まってるなー」と思い知らされていきました。

リオ氏の目指す配信サービスとは・・・

【アーティスト側】
良質な配信サービスを介して、レコーディング後、「時間」と「コスト」をかけること無く、
世界中に音源を発信することができ、きちんとした報酬を受け取ることができる。

【リスナー側】
良質な配信サービスを利用することで、自分好みの音楽を世界中からに手に入れることができる。

この「良質な配信サービス」というのがおそらくミソで、リオ氏は元々レコード会社の重鎮だったそうですが、アーティストが報酬を心配することなく、安心して制作ができるような、そしてリスナーも魅力的かつ自分好みの音楽の提案を受け、新たな発見ができるような配信サービスを構築するべく、レコード会社からYouTube音楽部門へ移られたそうです。

さて、私は鍵盤楽器担当なのですが、配信同様、ここ数年で流れが大きく変わったカテゴリだと感じています。

私が楽曲制作を始めた2000年代はじめは、宅録ではデモくらいが限界でしたが、あっという間にクオリティが上がり、今では当たり前のように自宅でも簡単に質の良い楽曲を作ることができるようになりました。

そして何より、シンセサイザーという「物」がなくとも、パソコン1つで音楽を作ることが簡単になり、鍵盤が弾けなくても、十分にライブでも使えるシンセパートを制作したり、楽曲を制作することができるようになりました。

これは音楽の間口を広げるという意味で、「すごく良いことだな~」と思っています。
音楽の歴史や理論というものも大切ですが、そういうものをいったん置いておいて、単純に「パソコンが好き!」から「音楽をしよう!」にも転換できるというのはすごいことだな、と。

しかし、SWITCHインタビューの中で、奥田氏、リオ氏ともに「アナログ」の良さは何者にも変えられない、と仰っていました。

配信は素晴らしいもので、もしも60年代、70年代に配信システムがあったならば、世の中にもっともっと素晴らしい音楽が残っていたかもしれないが、アナログレコードの音の質感は、アナログレコードにしかなく、配信された音源ではその質感を感じることはできない、と。

もちろん鍵盤も同じで、アナログシンセサイザーに限らず、アナログモデリングシンセもデジタルシンセも各社のこだわりが詰まっており、全く同じ形でPCで再現することは難しいことかと思います。

まず、弾き手が異なると、その時点でニュアンスは異なってしまいますし、やはり「物」であるからこその良さがそこにあるのだと思います。

こういった「物の有無」をどっちが良くて、どっちが悪くて、と決めることはできません。

だからこそ、リオ氏と奥田氏のように、古き良き時代のビンテージ品も、新世代のツールもどちらも理解しながら、そのどちらもが混在する中古楽器店だからこその提供ができればいいな、と感じています。

そして、画像は83年製「Roland JUNO-60」と、新世代型の鍵盤を持つ「ROLI Seaboard」です(現在販売中!)
どちらも年代や用途は異なれど、こだわりの詰まった素晴らしい製品に変わりありません。

何かの記事で「楽器離れが進んでいる」と書かれていました。
新旧問わず、あらゆる楽器を提供しながら、その風潮を止める一端を、はしっこでもいいので担うことができたら、嬉しい限りです。

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