今年は寒くなるのが緩やかでまだまだ「寒い・・・」と言うほど気温は下がっておりませんが、店頭の加湿器の湿度計などを見ておりますと日に日に乾燥は進んでおります。
乾燥となりますと、竿系の楽器(ギターやベース)をお持ちの方はネックの状態が気になってくる頃ではないでしょうか?
四季があり、湿度の増減が激しい環境にある日本においてネックの管理と言うのは非常に難しい物がございます。
保管場所を一年中「同じ湿度」に管理するという事が出来ればいいのでしょうが、現実的ではありませんよね。
毎年この時期になりますと色んな所で話題にされる「湿度管理」や「ネックの管理」なわけでございますが、今回は身近なものから検証してみようと存じます。
それは何かと申しますと「スタンド」でございます。
演奏の都度、ハードケースに収納される方はお持ちではないかもしれませんが・・・。
一般的に自宅で楽器を保管する際には、スタンドを使用しているという人がほとんどではないでしょうか。
ハードケースに保管するというのにも“外気の影響を受けにくい為、湿度の管理がしやすく楽器に影響が出にくい”というメリットがあるのですが、
弾きたいときにすぐ手に取る事が出来ない(めんどくさい)という点と、場所を取るというデメリットがございます。
そんな時に重宝するのがスタンドなわけでございますが、様々なタイプがございます。
一番古くからあるタイプは三脚にボディ置きがあり、ネックをU字で受けるタイプではないでしょうか。
こちらのメリットは、置いたり取ったりがし易い点とお安い所ではないでしょうか。
デメリットは、倒れやすい、変形のタイプが置けない(置き難い)所でしょうか。
このタイプは下側の三脚部分に角度が付いており、後側に傾斜を付けてギターやベースを立てるという仕組みになっております。
壁などに立てかけているよりも、ネックに対する影響は少ないと言われています。
続きまして普及しているのが吊るすタイプでございます。
こちらのメリットは、自重で吊られる構造になっておりますので楽器そのものの重さが重力に引っ張られてネックが反り難い点でしょうか。
また、ヘッドを挟み込んでホールドするシステムになっておりますのでボディの形状が少々特殊でも吊ってしまえるというのも利点と言えるでしょう。
デメリットは、少々大きめの構造になっておりスペースを取るという点と、値段が他のスタンド類と比べると高いという点。
そして、こちらも地面に置くタイプのスタンドという仕様上、三脚部分にボディが当たってしまうので全重量がネックの矯正に働きません。
では、ネックの保管管理に一番適しているのはどんなスタンドなのでしょうか?
それは・・・
壁から吊るすタイプでございます。
こちらのメリットは、先程の吊るすタイプと同様で自重によるネックの矯正が期待される保管方法であり、尚且つ地面から垂直になり他の干渉を全く受けませんのでネックを管理する上での保管方法としては最適とされております。
デメリットはと申しますと、一般家庭で壁面に吊るすスペースを取るのは難しい、壁にネジ穴を開けないといけない等、環境によっては設置そのものが難しいという事があります。
ここまで、3種のスタンドとその特徴やネックに対する影響などを見てきたわけでございますが、私は全ての保管方法を試した事がございます。
その経験から結論を申しますと、
「どのスタンドを用いましてもネックは動きます。」
壁に立てかけているような乱雑に使っているものが反らなくて、いつも大事に壁に吊るしたりして管理しているつもりのものに限って反ったり・・・
そんなことも実際にはよくある事でございます。
結局、一番状態が悪くならなかったのは・・・と考えますと、「普段からよく触っていたもの」でございました。
使っている木材、置かれている環境、はたまた個体差なのか。
一つ一つ全く違う動きをみせます。
自然の木から作られたアイテムですので全く同じものというのは無いわけでございます。
そんな中で、いかにすれば愛機を大事にできるかとなりますと、
「どれだけ小まめに手を掛けてあげるか」
の一言に尽きるのだなぁ~とこの季節になるといつも思う訳です。
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