実際に聞いて確かめてください。

噂を検証シリーズ1 ネックジョイントのボルトの締め具合で音は変わるか

中古楽器店Qsicの「噂を検証シリーズ」第一弾。

エレキギターのネックジョイント部分に見られるネックプレート。
そのネックプレートのボルトの締め具合によって音が変わるとか変わらないとか、様々な説がありますが、今回はテレキャスターとストラトキャスターの2本を使って実際に演奏を録音し、比較・検証してみました。

また、ジョイントのボルトの本数(3点 or 4点)によっても違いがあるのか?
という点にも注目してみました。

検証開始

<使用機材>

  • テレキャスター:Fender Custom Shop 1952 Telecaster N.O.S
  • ストラトキャスター:Fender Custom Shop Limited 70’s Stratocaster Relic
  • Interface:TASCAM US-144MKII
  • DTMソフト:Garage Band
  • ペダル:Ibanez TS-9 TUBE SCREAMER

<検証方法>

ネックジョイント部のボルトを強く締めた状態、軽く緩めた状態※で、それぞれアルペジオ、コードストローク、ソロフレーズを弾き、比較しました。
もちろん各パターン、ツマミの設定は同じです。

ボルトの緩め具合※緩めると言っても半周程度緩めるのみで、見た目にも触った感触も特に変わりがない程度で収めています。
(ネックが動くほど緩めてはおりません)

条件は以上です。

それではさっそく音を聴いていただきましょう。

Fender Custom Shop 1952 Telecaster N.O.S

スマートフォンからご覧の方は、音声を再生するには画面をズームしてください。

Fender Custom Shop 1952 Telecaster N.O.S

きつくしめた状態

軽くゆるめた状態

・バッキング
特に出だしを比べていただいたらよく分かると思うのですが、緩めた状態に比べ、締めた場合はシャキッとしていて、高音が非常に抜けます。
そして低音もスッキリしていますね。

・アルペジオ
締めた状態は非常にクリアで倍音が豊かに感じられます。サスティンもあります。
それに比べ緩めた状態では、音像がわずかにぼやけているのがお分かりでしょうか?
低音も締めた状態の方がタイトです。緩めた状態では少しボワっとしていますね。

・ソロ
特にアタック音の違いがはっきりしていますね。
緩めた状態に比べ、締めた状態の方が弾き始めのアタック音が強いです。
そしてやはり締めた方は緩めた方よりサスティンが長く続いているのがお分かりいただけるかと思います。

Fender Custom Shop Limited 70’s Stratocaster Relic

スマートフォンからご覧の方は、音声を再生するには画面をズームしてください。

Fender Custom Shop Limited 70's Stratocaster Relic

きつくしめた状態

軽くゆるめた状態

・バッキング
緩めた方は低音と高音が強調されて、いわゆる「ドンシャリ」気味に聴こえますね。
逆に締めた方はミドルがよく出ていて、バランスの取れたサウンドに感じます。
アタック感もありますね。これは違いが非常に分かりやすいですね!

・アルペジオ
緩めた方はゆったりとしていて、少し「音の揺れ」のようなものを感じますね。
逆に締めるとより音にハリとツヤが増して、音の伸びも真っ直ぐにように感じます。

・ソロ
こちらもテレキャスター同様、アタック感の違い、そしてサスティンの違いが感じられますね。
やはりボルトを締めるとアタック感が出て、サスティンが伸びるようです。

考察

ボルトを増し締めするとクリアでタイトなサウンドに、緩めると少しルーズになる傾向がありました。

ボルトを緩めるとボディとネック接合部の密着度が下がり、そこにわずかな隙間ができることで弦振動が吸収されてしまうのでしょう。

そのわずかな隙間によってボディからネックへの振動の伝達に遅れが生じ、音の立ち上がりにも影響したものと考えられます。

サスティンに関しても、ネックとボディがより密接している方が振動が長く続くので、ボルトを緩めた際に音が早く減衰してしまうのは当然のことなのでしょう。

<3点止めと4点止めの違いについて>
テレキャスター(4点止め)よりもストラトキャスター(3点止め)の方が、特にバッキングを聞いていただくと分かりやすいと思いますが、顕著に違いが出たように思います。

どちらのギターも、ボルト1本当たりの緩め方はほぼ同程度で検証しましたが、4点止めと比べると3点止めの方が1本あたりの負荷が大きい分、より密着度が下がってしまった結果でしょう。

逆にいうと、4点止めの場合は1本1本に掛かるボルトの力が3点止めに比べ小さいので、各ボルトの締め具合をうまく調整すると、より自分の好みのサウンドに近づけるができるのではないでしょうか?その辺りもいつか検証してみたいですね。

結論

「ボルトの締め具合によって音は変わります」

正直、この部分にこれほど影響があるとは思いませんでした。
ネックジョイントの組み込み部分の大切さがよく分かる検証でしたね。

ピックアップなどの電装系だけでなく、そういった普段あまり気に留めない部分を突き詰めるのもまた楽しいかもしれませんね。

"ボルトをちょっと締める"という簡単な作業だけで音は変わりますので、良かったら是非一度試して下さいね。

噂を検証シリーズ

次回は「アコースティックギターのエンドピンの素材で音は変わるか?」を検証します。
ブラス製、プラスチック製、エボニー製など色々ありますが、変化があるとすればどのように変わるでしょうか。

<噂を検証シリーズ>